翌日、俺は早速アイズレンシアさんの執務室を訪ねた。
普段、ルルシーさん以外の幹部と接する機会はないから…酷く緊張する。
しかもアイズさんと言えば、アシュトーリアさんに次ぐ『青薔薇連合会』のNo.2だ。
そんな偉い人に頼み事なんて…冷静に考えれば、随分無謀なことをしようとしている。
でも、それがフューニャの為なのなら。
俺は意を決して、アイズさんの執務室の扉をノックした。
「…あれ?君…確かルルシーのところの…」
「はい…。ルヴィア・クランチェスカです」
アイズさんはどうやら、俺のことを覚えているようだった。
あまり会ったことはないはずだが。
そして何故か、アイズさんの隣に、アリューシャさんがいた。
…何してるんだろう?ここで。
「ルルシーから何か?」
「いえ…俺の用事です」
「何か?」
幹部を顎で使うなど、即射殺されてもおかしくない。
だが放っておけば、フューニャが捕まるのだ。
それだけは、絶対に阻止しなければならなかった。
「…実は…脱国者の友人に、戸籍を作ってやって欲しいんです」
「…」
予想外の頼み事だったらしく、アイズさんは驚いていた。
…まぁ、こんなことを頼む奴はいないだろうな。
「脱国者ね…。別に良いけど、君、騙されてるんじゃないよね?」
「はい」
フューニャが俺を騙している。
第三者から見れば、有り得ない話ではないだろう。
『青薔薇連合会』の準幹部に取り入り、信用を得て、良からぬことをしようとしている可能性はゼロではない。
でも俺は、そんな可能性はゼロだと思っていた。
「もしそうだったとしたら…俺が責任を取ります」
「…そうは言うけどね。脱国者と関わるのはあまりお勧めしない。彼らの背負っているものは並大抵のものじゃないよ」
「…分かっています」
だからこそ、フューニャはうちを出ていこうとしたのだ。
そういったしがらみに、俺を巻き込む訳にはいかないから、と。
それでも俺は、そういうものを全部ひっくるめて…フューニャを守りたいのだ。
すると。
「良いじゃんアイ公。戸籍作ったげなよ。根なし草ってしんどいよ」
アリューシャさんが、足をぷらぷらさせながらアイズさんにそう言った。
「アリューシャ…でもね」
「逃げてきたんでしょ?箱庭帝国から。立派なもんじゃないか。逃げるってのは人間の権利だよ」
「…分かったよ」
アイズさんは、溜め息混じりに了承してくれた。
アリューシャさんがこの場にいたことに感謝だ。
「すぐ取り掛かる。一週間くらいもらうよ」
「ありがとうございます、アイズさん…!アリューシャさんも」
「気にすんな!この礼は、君の上司の手作りご飯で返してもらうから」
ルルシーさん…ごめんなさい。
「あぁ、それと…登録する名前はどうするの?箱庭帝国の名前をそのままつける訳にはいかないよ」
「あ…そう、ですね」
ルミリュクァット…なんて名字、ルティス帝国では有り得ないからな。
「本人に聞いてきます…。後日でも良いですか」
「分かった。でも出来るだけ早めにね」
「はい」
話がまとまり、俺は何度も頭を下げて、アイズさんの執務室を出た。
これでフューニャに、この国に自分の居場所を作ってやることが出来る。
そう思うと、ほっとした。
普段、ルルシーさん以外の幹部と接する機会はないから…酷く緊張する。
しかもアイズさんと言えば、アシュトーリアさんに次ぐ『青薔薇連合会』のNo.2だ。
そんな偉い人に頼み事なんて…冷静に考えれば、随分無謀なことをしようとしている。
でも、それがフューニャの為なのなら。
俺は意を決して、アイズさんの執務室の扉をノックした。
「…あれ?君…確かルルシーのところの…」
「はい…。ルヴィア・クランチェスカです」
アイズさんはどうやら、俺のことを覚えているようだった。
あまり会ったことはないはずだが。
そして何故か、アイズさんの隣に、アリューシャさんがいた。
…何してるんだろう?ここで。
「ルルシーから何か?」
「いえ…俺の用事です」
「何か?」
幹部を顎で使うなど、即射殺されてもおかしくない。
だが放っておけば、フューニャが捕まるのだ。
それだけは、絶対に阻止しなければならなかった。
「…実は…脱国者の友人に、戸籍を作ってやって欲しいんです」
「…」
予想外の頼み事だったらしく、アイズさんは驚いていた。
…まぁ、こんなことを頼む奴はいないだろうな。
「脱国者ね…。別に良いけど、君、騙されてるんじゃないよね?」
「はい」
フューニャが俺を騙している。
第三者から見れば、有り得ない話ではないだろう。
『青薔薇連合会』の準幹部に取り入り、信用を得て、良からぬことをしようとしている可能性はゼロではない。
でも俺は、そんな可能性はゼロだと思っていた。
「もしそうだったとしたら…俺が責任を取ります」
「…そうは言うけどね。脱国者と関わるのはあまりお勧めしない。彼らの背負っているものは並大抵のものじゃないよ」
「…分かっています」
だからこそ、フューニャはうちを出ていこうとしたのだ。
そういったしがらみに、俺を巻き込む訳にはいかないから、と。
それでも俺は、そういうものを全部ひっくるめて…フューニャを守りたいのだ。
すると。
「良いじゃんアイ公。戸籍作ったげなよ。根なし草ってしんどいよ」
アリューシャさんが、足をぷらぷらさせながらアイズさんにそう言った。
「アリューシャ…でもね」
「逃げてきたんでしょ?箱庭帝国から。立派なもんじゃないか。逃げるってのは人間の権利だよ」
「…分かったよ」
アイズさんは、溜め息混じりに了承してくれた。
アリューシャさんがこの場にいたことに感謝だ。
「すぐ取り掛かる。一週間くらいもらうよ」
「ありがとうございます、アイズさん…!アリューシャさんも」
「気にすんな!この礼は、君の上司の手作りご飯で返してもらうから」
ルルシーさん…ごめんなさい。
「あぁ、それと…登録する名前はどうするの?箱庭帝国の名前をそのままつける訳にはいかないよ」
「あ…そう、ですね」
ルミリュクァット…なんて名字、ルティス帝国では有り得ないからな。
「本人に聞いてきます…。後日でも良いですか」
「分かった。でも出来るだけ早めにね」
「はい」
話がまとまり、俺は何度も頭を下げて、アイズさんの執務室を出た。
これでフューニャに、この国に自分の居場所を作ってやることが出来る。
そう思うと、ほっとした。


