The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

俺は下っ端構成員として、『青薔薇連合会』に加入した。

死んでも誰も困らない人間だ。学もない、人を殺したこともない役立たずの俺は、『青薔薇連合会』でどんな扱いを受けても文句は言えなかった。

同僚達は誰もやりたがらない、警察にばれたら即刻首を切られる危険な仕事を押し付けられたり。

あるいは、役に立たないからと、殺されて内臓を売り飛ばされてもおかしくなかった。

けれど、そうはならなかった。

「幸い、親切な上司が俺に目をかけてくれたから…なんとかやってこれた」

無論、ルルシーさんのことである。

あの人が俺の面倒を見てくれた。だから、俺は汚れ仕事を押し付けられずに済んだのだ。

そして今は、才能を買われて準幹部にまでしてもらった。

「マフィアに入ってからはずっと、組織に切り捨てられないように毎日必死だった。寂しいなんて思う余裕もなかった…」

ろくでもない家族だったから、彼らを思い出すこともなかった。

でも。

「…フューニャと暮らして、自分がずっと寂しかったんだなって、初めて気づいたよ。俺は寂しかったんだ。誰かと一緒にいたかったんだ…」

仕事仲間じゃなくて。友達じゃなくて。

家族として、傍にいてくれる人が。

「だから、フューニャを追い出そうなんて一度も考えなかった。出来ることならずっといて欲しいと思ってた…」

「…ルヴィアさん…」

「…ごめんな。これは、俺の我が儘だ。俺の我が儘に、フューニャを巻き込む訳にはいかない…」

フューニャには、フューニャの人世があるのだから。

彼女のことを思うなら、せめて彼女が必要としているものを与えて、ここから送り出してやれば良い。

それが彼女の為に、俺に出来ることだ。

「…もう少しだけ、ここにいてくれないか。戸籍を買うのに少し…時間がかかると思うから」

「…分かりました」

フューニャに出ていって欲しくなくて、結論を出すのをずっと先延ばしにしていた。

でも、もうやめよう。

彼女の為に出来ることをしよう。そして…彼女を送り出してやるのだ。

これ以上、俺の我が儘に付き合わせる訳にはいかないから。





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