The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

翌日。

その日も雨で、朝からどんよりとした雲が空を覆っていた。

「…フューニャ。家の中でじっとしてても退屈じゃないか?」

仕事に出る前に、俺は彼女にそう尋ねてみた。

フューニャははっとして顔を上げた。

「…出ていった方が良いですか?」

「いや、そうじゃなくてさ…。退屈してるんじゃないかと思ったんだ」

我が家には、大した娯楽はない。

あるのは…まぁ、テレビくらいだが。

一日中テレビばかり眺めていても、すぐに飽きるだろうし。

「家の鍵、渡しておくから…。好きなところに出掛けてきて良いぞ。あと、少しだけどお金も置いていくから。好きに使ってくれ」

「…」

フューニャは顔を上げて、じっと俺を見つめた。

「…何でそこまでしてくれるんですか?」

「…さぁ…。何でだろうな」

「同情ですか。それとも…憐れみですか」

「いや…」

何でだろう。自分でも随分お人好しだな、とは思うけど。

「…昔の自分を重ねてるのかもしれない」

「…昔の自分を…?」

「…まぁ、気まぐれ…だとでも思ってくれ」

困ってる人を放っておけないとか。

ボランティア精神だとか。

そんなあまっちょろいことは考えていない。俺はマフィアだ。弱い者から搾取することも厭わない。

けれども。

何故か…フューニャを家から叩き出すことは、どうしても考えられなかった。