フューニャの為に、買ってきたばかりの紅茶を淹れてやり。

ケーキを皿に三つ乗せて、フューニャに出した。

「ルヴィアさんはどれを食べるんですか?」

「ん?いや…。俺は要らないから、フューニャが一人で食べて良いよ」

フューニャへの詫びのつもりで買ってきたのだから。

しかしそう言うと、フューニャはむっ、としたような顔をした。

あっ、やばい?

「可愛い妻にケーキを三つも食べさせて太らせようなんて、そうは行きません」

フューニャはそう言って、俺にもケーキを食べるよう命令した。

俺も食べるのか…まぁ良いけど。

「フューニャはどれが良いんだ?」

フューニャが一番要らないものを俺がもらうつもりだった。

「チョコと…チーズケーキです」

「じゃあ俺がショートケーキだな」

一番スタンダードなものが回ってきたな。

まぁ、俺は何でも良いから。

フューニャは嬉しそうにケーキにフォークを入れ、もくもく食べ始めた。

…可愛い。

ケーキ好きなんだな、フューニャ…。また今度買ってこよう。

ご機嫌取りのつもりはない。純粋に、喜んでもらいたいだけだ。

「美味しいか?フューニャ」

フューニャはこくり、と頷いた。やっぱり可愛い。

喜んでくれて良かった…と思いながら、俺もケーキを口に運ぶ。

うん。なかなか。

長らく不機嫌だったフューニャが、ようやく機嫌を直してくれたことに安堵である。

「…」

「…?どうした」

ふと気がつくと、フューニャが俺のケーキをじっと見つめていた。

「…欲しいか?」

食べかけだけど…。フューニャが欲しいならあげるつもりだが。

「…いちご」

は?

「可愛い妻に、いちごをあーんして食べさせてください」

「あぁ…成程」

ショートケーキから上に乗ってるいちごを取ったら、主役がいなくなったも同然だが。

フューニャが喜ぶのなら、いちごの一粒くらい。

俺はフォークにいちごを刺して、フューニャに食べさせてやった。

ふにゃんとした顔で幸せそうにいちごを齧るフューニャがとても可愛いので、俺も満足である。