お互いに武器を突きつけ合ったまま、俺達は互いを睨み付けていた。

先に動いたのは、女幹部の方だった。

放たれた弾丸を、俺は日本刀で弾き飛ばした。

甲高い音がして、シトウがまた悲鳴をあげた。

「ひっ…嫌ぁぁぁぁ!死にたくない!」

シトウは錯乱したらしく、叫びながら部屋の出口に向かって走った。

だが、女幹部はその隙を見逃さなかった。

弾丸に身体を貫かれ、シトウは床に倒れた。

弾は確実に急所を撃ち抜いていた。

シトウの死体を見ても、俺は表情を変えなかった。

「…女」

代わりに、俺はその女幹部にこう尋ねた。

「…何」

「お前…思い人はいるのか」

「は…ぁ?」

意表を突かれたようなその表情だけで、返事が分かった。

「…そうか。実は…俺も同じなんだ」

「…何を言ってる」

「死んで…会いに行こうと思う」

生きているのなら、それで良いが。

もし死んでいるのなら、先に向こうで…。

「…まぁ、待ってはいないだろうがな」

せめて、この女の首を手土産に持っていきたいものだ。

そうすれば彼女も少しは…俺という人間に、興味を持ってくれるかもしれない。

俺は日本刀を構え直し、女幹部に向かって突進した。

「くっ…」

相手の武器は拳銃。超至近距離に接近されれば、戦いにくかろう。

彼女は顔を歪めて、一歩、二歩と下がった。

このまま押し切れば、と思った、そのときだった。

押されているはずの女幹部が、勝利を確信した目で俺を見た。

何故、そんな目をする?

…危機を感じたときには、既に手遅れだった。




窓が、ぴかっ、と光った。

耳をつんざくような破裂音と、一瞬遅れて、背中に凄まじい衝撃が走った。