「さぁ、もう泣かないで。お願いよ」
「は、はい…」
私はごしごしと涙を拭いた。
アシュトーリアさんは、聖母のような優しい笑顔でにこにこしていた。
…裏社会の人には、とても見えない。
それとも、夫がマフィアの首領だと、その奥さんはこんな風に優しいものなのだろうか?
…と、私はまだ、アシュトーリアさんこそが『青薔薇連合会』の首領だとは思っていなかった。
「…あ、あの…私」
「なぁに?」
その時点で既に、私はここで働こうと決めていた。アシュトーリアさんの為に命を懸けようと。
しかし、マフィアに所属するということは…組織のトップにも従わなければならない訳で。
アシュトーリアさんはこんなに良い人だけど、彼女の夫は冷酷な人だったら嫌だな…と思って。
私は、アシュトーリアさんに聞いてみようとした。
「あの…『青薔薇連合会』の首領はどちらに?私、挨拶を…」
「あら?私がそうよ?」
「…え?」
アシュトーリアさんは、知らなかったの?という顔でぽやんとしていた。
私は私で、まさか自分は、あの『青薔薇連合会』の首領に抱きついて、めそめそ泣いていたのかと思って。
とんでもないことをしてしまったと、私は飛び上がってしまった。
「ご、ご、ごめんなさい!私、てっきり…。知らなくて…。ごめんなさい!失礼しました!」
土下座せんばかりに椅子から転がり落ち、私は慌てふためいて必死に謝った。
ま、まさかこんな優しげな女の人が、世間を恐れさせている『青薔薇連合会』の首領だなんて。
誰が思うだろう?
私は、なんて畏れ多いことをしてしまったのだろう。
しかし、アシュトーリアさんは楽しそうに笑うばかりだった。
「あらあら。良いのよ、そんなこと気にしなくても。甘えてちょうだい。あなたはもう、私の娘も同然なんだから」
「む、娘…」
『青薔薇連合会』の首領の娘にしてもらうなんて、この私が。
もしかして、夢か何かでも見ているのだろうか。
「そうだ。可愛い愛娘に、名前をつけてあげなきゃ…。何が良いかしら」
「名前…ですか?」
そういえば…私は、まだ名乗っていなかった。
「うちにいる子は、皆名前を変えるのよ。それとも…あなたは今の名前の方が良い?」
「い、いいえ!」
彼女が名前をつけてくれるなら…その方が良いに決まっていた。
私をほんの少しも愛してくれなかった母親のつけた名前なんて、私には要らない。
「そうね…。じゃあ、シュノ。シュノはどうかしら?シュノ・ルヴァーシュ。可愛いし、呼びやすいわ」
「シュノ…」
前の名前より、ずっと素敵な響きだ。
「宜しくね、シュノ。私の可愛い娘」
アシュトーリアさんは、私の髪を優しく撫でてくれた。
この瞬間に、私は『青薔薇連合会』の構成員、シュノ・ルヴァーシュになった。
過去の自分は死んだ。私はこれから…アシュトーリアさんの為に、そして『青薔薇連合会』の為に、シュノとして生きていくのだ。
「はい」
強い決意と共に、私はしっかりと頷いた。
「は、はい…」
私はごしごしと涙を拭いた。
アシュトーリアさんは、聖母のような優しい笑顔でにこにこしていた。
…裏社会の人には、とても見えない。
それとも、夫がマフィアの首領だと、その奥さんはこんな風に優しいものなのだろうか?
…と、私はまだ、アシュトーリアさんこそが『青薔薇連合会』の首領だとは思っていなかった。
「…あ、あの…私」
「なぁに?」
その時点で既に、私はここで働こうと決めていた。アシュトーリアさんの為に命を懸けようと。
しかし、マフィアに所属するということは…組織のトップにも従わなければならない訳で。
アシュトーリアさんはこんなに良い人だけど、彼女の夫は冷酷な人だったら嫌だな…と思って。
私は、アシュトーリアさんに聞いてみようとした。
「あの…『青薔薇連合会』の首領はどちらに?私、挨拶を…」
「あら?私がそうよ?」
「…え?」
アシュトーリアさんは、知らなかったの?という顔でぽやんとしていた。
私は私で、まさか自分は、あの『青薔薇連合会』の首領に抱きついて、めそめそ泣いていたのかと思って。
とんでもないことをしてしまったと、私は飛び上がってしまった。
「ご、ご、ごめんなさい!私、てっきり…。知らなくて…。ごめんなさい!失礼しました!」
土下座せんばかりに椅子から転がり落ち、私は慌てふためいて必死に謝った。
ま、まさかこんな優しげな女の人が、世間を恐れさせている『青薔薇連合会』の首領だなんて。
誰が思うだろう?
私は、なんて畏れ多いことをしてしまったのだろう。
しかし、アシュトーリアさんは楽しそうに笑うばかりだった。
「あらあら。良いのよ、そんなこと気にしなくても。甘えてちょうだい。あなたはもう、私の娘も同然なんだから」
「む、娘…」
『青薔薇連合会』の首領の娘にしてもらうなんて、この私が。
もしかして、夢か何かでも見ているのだろうか。
「そうだ。可愛い愛娘に、名前をつけてあげなきゃ…。何が良いかしら」
「名前…ですか?」
そういえば…私は、まだ名乗っていなかった。
「うちにいる子は、皆名前を変えるのよ。それとも…あなたは今の名前の方が良い?」
「い、いいえ!」
彼女が名前をつけてくれるなら…その方が良いに決まっていた。
私をほんの少しも愛してくれなかった母親のつけた名前なんて、私には要らない。
「そうね…。じゃあ、シュノ。シュノはどうかしら?シュノ・ルヴァーシュ。可愛いし、呼びやすいわ」
「シュノ…」
前の名前より、ずっと素敵な響きだ。
「宜しくね、シュノ。私の可愛い娘」
アシュトーリアさんは、私の髪を優しく撫でてくれた。
この瞬間に、私は『青薔薇連合会』の構成員、シュノ・ルヴァーシュになった。
過去の自分は死んだ。私はこれから…アシュトーリアさんの為に、そして『青薔薇連合会』の為に、シュノとして生きていくのだ。
「はい」
強い決意と共に、私はしっかりと頷いた。


