The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

その場で現地解散した俺は、あらかじめ下見しておいたポイントに向かった。

ホテルの、裏出口に。

そこには、俺の予想通り。



「…お帰りですか?お二人さん」

「…!ルシファー殿…」

リーヴァ・アギリス・ヘルブラッドは、驚いたように俺を見た。

ラウンジで俺達と別れた後、必ず先にオルタンスに報告すると思っていた。

で、その後…人目を忍んで、裏口からこそこそ出ていくだろうと。

予想通り会えたのは良いが。

「ダサい名前で呼ばないでもらえません?殺したくなるんですけど」

殺気を滲ませてそう言うと、リーヴァはぞっとしていた。

「…済まない。今は…ルレイア殿、だったな」

「そう。そう呼んでくださいね」

制服を着てるから、正しくはルナニアだがな。

そこは多目に見てやろう。

「何故貴殿がここにいる」

ウィルヘルミナが、怒気を含んだ声で言った。

「酷い言い方ですね。夜を共にした仲じゃないですか」

「っ、貴様!」

「冗談ですよ」

ちょっと、挑発が過ぎたかな。

嘘ではないけど。

「ウィルヘルミナ殿、ここは抑えてくれ」

リーヴァは、ウィルヘルミナに挑発に乗らないようにと軽く諌めた。

ウィルヘルミナは、仕方なしに引き下がった。

「しかし…彼女の言う通りだ。ルレイア殿、何故貴殿がここにいる?」

「この格好を見て、分かりません?」

俺はくるりとその場で一回転して、ランドエルス騎士官学校の制服を見せびらかした。

これを見れば、一目瞭然だと思うがな。

「…貴殿は、ランドエルスに潜入していたのか」

「えぇ、見ての通りですね」

「それを、我々に教えても良いのか?」

「教えても良いから、今こうして会ってるんじゃないですか」

そろそろ、潮時だと思ってな。

「我々は同盟関係ですよ?仲良くしようじゃありませんか」

「…」

無言とは。なんとまぁ無愛想なことだ。

無理もないな。俺達組織は元々、犬猿の仲どころじゃないからな。

「…ということは、ランドエルスにいるという『シュレディンガーの猫』のスパイについても?」

「教えて欲しいですか?」

「あぁ、是非ともな」

そう言うと思った。

そして、協力関係にある今、この情報提供を拒む訳にもいかない。

「後でルルシーに聞いてください。彼に教えておきますから…。…それと、代わりに『猫』にあなた方のことも喋りますよ。どっちにも良い顔しなきゃならないんですから。俺は」

「…分かった」

『シュレディンガーの猫』は、俺達『青薔薇連合会』と同盟関係にある、と思ってるからな。

形だけでも、誠意は見せておかなければ。

全く、モテる男は辛いな。