The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

とはいえ、リーヴァ達がそんなに緊張する必要はないのだ。

俺は今、ルレイアではなく、ルナニアとしてここにいるのだから。

彼らは余計なことを言えないが、実は俺も、余計なことを言えない立場なのだ。

お互い様、って奴だな。

だから、もう少し肩の力を抜いてくれても良いのに。

俺が最初にちょっと脅したものだから、すっかりびびってしまっている。

帝国騎士団のお偉い隊長様を、視線と口パクだけでびびらせる俺って、一体。

生憎俺は、本職がマフィアだからな。そういうことはお家芸なのだ。

さて、あとは、ティモニーにでも任せておけば良い。

彼が、質問事項をまとめてきたのだから。

「それじゃ、早速質問良いですか?」

「あぁ…どうぞ」

しっかし、リーヴァも気の毒なもんだな。

こんなこと、本来帝国騎士団の隊長の仕事じゃないだろうに。

俺は隊長辞めてて良かった。学生風情の下らない自由研究に付き合うなんて、給料に入ってないからな。

なんて、思ってたら。

「ずばり、お給料っていくらくらいなんですか?」

いきなり突っ込んだ質問をするものだ。

少なくとも、今ここで学生の質問に答えることは給料の範囲外だろうに。

これには、リーヴァも面食らっていた。

「…それは…悪いんだが、答えられない質問だな」

「やっぱりそうですか…」

分かってるなら聞くなよ、と思ってるだろうな。

帝国騎士の給料って、帝国民の税金だからな。

皆さんからこれくらいもらってます、とは言えない。

「じゃあ、そのお給料に…満足してるかしてないかだけでも教えてもらえませんか」

「俺は満足してるが…」

嘘つけ。今ここにいるのは給料のうちに入ってねぇと思ってるだろ。

「そうなんですか。そちらの方は?」

「…」

ウィルヘルミナに至っては、下らない質問をするな、という態度であった。

その気持ちはよく分かる。こんな馬鹿な質問、律儀に答えるリーヴァがおかしいのだ。

ノーコメントのウィルヘルミナに、これ以上給料に関する質問はヤバい、と判断したのか。

ティモニーは、別の質問を繰り出した。

「えぇと…。帝国騎士団の隊長さん達は、それぞれが様々な業界団体に所属して、活動していると聞いたんですが…」

「あぁ…。そうだな」

「具体的には、どんなことをしてるんですか?」

「ふむ…。まぁ、一概には答えづらい質問だが…」

色々あるもんね。

「聞いたところによると、女性の人権保護活動をやっている隊長さんもいらっしゃるとか…」

「あぁ…」

そこにいるウィルヘルミナがその隊長だね。

守秘義務があるから、誰が何をやってるとかは言わないだろうけど。

「しかもその活動を、若い男性の隊長さんがやっていたとか…」

「…あぁ…」

うん。俺だね、それ。

リーヴァの目が、可哀想なくらい泳いでる。

こいつのことだよな…って思ってそう。

ウィルヘルミナもウィルヘルミナで、心臓ばくばくだろうなぁ。

「若い男性の隊長が、女性の権利保護の活動をしてるなんて…さすが帝国騎士団の隊長さんですね」

「あぁ…まぁ…そうだな」

褒めてくれてありがとう。

ちなみにその隊長、今は女を騙して骨の髄までしゃぶり尽くすのがお仕事です。

全く愉快で堪らないな。