The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

「はぁ…本当に疲れた」

「お疲れ様です、ルレイアさん」

俺の左右には、ゴージャスに髪をアップし、胸元の開いた黒いロングテールドレスに身を包んだ若い女が一人ずつ、侍っていた。

言わずもがな、『Iron Maiden』の嬢である。

ドレスの色も型も、全部俺の好みで着させている。

派手な赤やピンクは萎えるだけだし、丈の短いミニドレスなんかを着て、露骨に太股を露出させる下品な女は、うちには要らない。

「そりゃあね、スパイになるって言い出したのは俺ですけど。でもそれにしたってこんな不快なことってあります?」

「まぁ、ルレイアさん。今日は本当に大変だったんですね?」

「大変なんてもんじゃないですよ。全く…」

グラスに注がれたアルコールを、俺はいつもの倍のペースで飲み干した。

俺がグラスを空ける度、左右どちらかの女がおかわりを注いでいた。

レーズンを摘まみながら、俺は放課後の不愉快な出来事を思い出した。

あの後、図書館に連れていかれて、下校時刻ギリギリになるまで、ひたすら過去の新聞を読み漁った。

が、釣果はほぼゼロ。

当たり前だ。俺から言わせれば、こんなのは試すまでもなく分かっていたことだ。

基本的に、帝国騎士団の隊長達についての情報は、情報規制が敷かれていて、そう簡単に知ることは出来ない。

大衆の目に触れる新聞に、そういった情報を軽々しく書くなんてもっての他。

書かれていたとしても、詳細までは触れられていない。

レポートに出来るほどの情報が載っているはずがない。

僅かにそれらしい記事は見付けたけれど、どれも小さいもので、当然、レポートを書くには足りない。

情報を集めるのが難しいから、このテーマはやっぱりやめよう、と誰かが言い出すことを期待したのだが。

あろうことか、馬鹿女のミューリアは、

「思ったより時間がかかりそうね…。明日から、放課後はこの調子で図書館に通わなきゃいけないわね」

なんて抜かしやがった。

おまけに、反対意見はなし。

まぁ…俺以外の人間は、反対する理由もないだろうからな。

思い出しただけで腹が立って、俺は舌打ちを溢した。