ユーシャとの親睦を深めながら、更に文化祭の準備も進んでいた。

「えー、さっき配布した資料にもありますように、文化祭に向けて、女子は男子の服を、男子は女子の服を各自一式用意してください。家にある場合は、買わずにそれを着てもらってもOKです」

朝のホームルームで、俺は教卓に上がってクラスメイトに説明をしていた。

「資料の二ページ目に記入されているのが、一人あたりの予算です。その金額までは学校で負担しますが、それを越えたら自費になるので注意してください」

いやはや。本当に楽で良い。

つまり、「金は適当にやるから、それで好きなもん買ってこい。足りなきゃ自分で払えよ」ということだ。

他のクラスの文化祭実行委員が、てんやわんやしながらレンタル機材や材料のリストを睨んでいるにも関わらず。

うちのクラスは、準備のほとんどをクラスメイトに丸投げ。どうぞ皆様ご勝手にwってなもんだ。

素晴らしいな。

「ちなみに優勝者には賞金があるので、皆さん気合い入れて頑張ってください」

「えっ、マジ?いくら?」

賞金、の二文字にアシベルが食いついた。

お前貴族の癖に、随分がめついな。

「賞金の金額については、当日のお楽しみってことで」

実は、賞金については今は決められない。

衣装代を差っ引いて、余った予算がそのまま賞金になるからだ。

皆が一人あたりの予算限界まで衣装を買ったら、そのぶん賞金は少なくなるが。

皆が持ち寄りの衣装を着て、こちらの用意している予算を使わなければ…賞金は多くなる。

なので皆、是非とも家にある衣装で安上がりに済ませてくれ。

まぁ、知ったことじゃないがな。人の家のことなんて。

「マジか。よし、頑張るぜ」

「何着ようかしらね」

「女子は…学ランとか?」

「それはありきたり過ぎない?」

よしよし、いい感じに盛り上がってもいるな。

こんな下らないことで盛り上がれるなんて、おめでたい奴らだことだ。