The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

その日、俺は先日と同じように、ユーシャを駅まで送って帰った。

帰り道でユーシャを殺すのは簡単だった。袖口に隠してある仕込みナイフで頸動脈を掻き切れば、それでおしまいだ。

証拠隠滅だって簡単に出来る。こんな女が一人死んだことくらい、いくらでもなかったことにしてしまえるのだ。

そして何度か、そうしてしまおうかという衝動に駆られたこともある。

けれども、俺はユーシャを殺さなかった。

「それじゃ、ユーシャさん。明日までに、今日出た案を改めてリストアップしておきますね」

「うん」

「じゃあ、また明日」

俺はにこやかな笑顔で、彼女を見送った。

ユーシャもある程度俺に慣れてきたのか、微笑みを返してきた。

手を振りながら、しかし俺の腹の中には、何処までも冷たい感情が渦巻いていた。