The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

さて、案がまとまったところで。

いよいよ、今日の「本題」に入ることにしよう。

文化祭の出し物についてなんて、そんな学校で話し合っても充分事足りることについて、わざわざファミレスにまで彼女を引っ張り出したのだから。

手ぶらで帰る訳にはいかない。

「…ところでユーシャさん。よく考えたら…って言うか、よく考えなくても、貴族の方なんですよね」

「…うん」

ユーシャははっとして、それから…掠れるような声で頷いた。

まるで貴族であることを恥に思っているようだ。

その気持ちはよく分かる。俺だって今となっては、貴族であった過去は唾棄すべき記憶だ。

出来ることなら、この身体に流れるウィスタリアの血を一滴残らず取り替えてしまいたいと思うほどに。

「アシベルもティモニーも、あんまり自然に溶け込んでるからうっかり気づきませんけど…。ユーシャさんも貴族なんですよねぇ。アイヒベルガー家…ですよね。俺は聞いたことないですけど…」

アイヒベルガー家は、ウィスタリア家のように、帝国民の誰もが知る名家、という訳ではない。

一般帝国民であるルナニアが知らないのは当然だ。

「えぇ…その、小さい家だから…」

「失礼ですが、ユーシャさんがご当主なんですか?兄弟とか…」

「私は当主じゃない。兄が、いて…」

兄。兄だと?

あと少し。確信を得られるまで。

「お兄さん?えっと…更に失礼ながら、なんだかユーシャさんの実家、ちょっと問題が起きたとか聞いたんですけど…」

「…」

ユーシャの顔が、更に暗くなった。

こんなに失礼なことを聞かれてるのに、怒らないってところが凄いな。

「あれって、本当なんですか?」

アイヒベルガー家の、あの糞忌々しいシューレンの家でなかったら。

俺はこんなこと、全く興味はなかった。貴族の家のことなんて、俺の知ったことじゃない。

でも、シューレンの家なら話は別だ。

失礼だろうが何だろうが、根掘り葉掘り聞きまくってやる。

奴の恥を、指突っ込んで掻き回して、暴き出してやれば良い。

容赦する必要なんかない。あんな畜生の家の人間に。

「…兄が、帝国騎士だったんだけど…。良くない事件を起こして」

「…あなたのお兄さんが?」

「えぇ。その事件のせいで…責任を取って帝国騎士団をクビになってしまったの」

間違いない。

間違いない。その兄というのは…シューレンのことだ。

だからこの女は…シューレンの、妹なのだ。