The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

ユーシャを駅まで送っていた、その翌日。

朝学校に行くと、早速ユーシャが絡まれていた。





「ちょっと。何でやって来てないの?あんたの写すんだって言ったでしょ?」

「ご、ごめんなさい…。昨日は…実行委員の集まりがあって…。帰るのが、遅くて…」

「は?言い訳するとかウザ。今すぐやれよ。間に合わないじゃん」

「そんな…。今から、なんて…」

…どうやら聞くところによると、ユーシャに宿題をやらせて、それを写すつもりだったのだが。

ユーシャが昨夜、帰りが遅くて宿題に手をつけられず。

で、今こうなってると。

何でやってねぇんだコラ、ってとこだろうな。

「まーたやってるよ、あいつら」

「宿題なんて俺もやってないんだから、別にやらなくても良いじゃんね~」

そしてらエルスキーとアシベルも相変わらず。

あれを聞いても、ちっとも心は痛まない。あくまでも全部他人事。

呑気な奴らである。

ルナニアとしては、エルスキーと同じように、気づいてない振りをして無視するべきだ。

けれども、今日はそうする訳にはいかなかった。

俺は自分のノートを鞄の中から取り出して、立ち上がった。

訝しげな視線を向けるエルスキー達をスルーして、ユーシャのもとに向かう。

突如現れた俺の存在に、いじめっ子達も訝っていた。

何でお前いるの?とでも言いたそうだな。

その気持ちはよく分かる。

「宿題を写したいなら、良かったら俺のをどうぞ。合ってなかったら許してくださいね」

にこっ、と微笑んで、俺はノートをいじめっ子の一人、先日のレモンティー少女に手渡した。

何で、関係ないはずのこいつが出てくるんだ?と言いたいのがよく分かる顔をしている。

俺は気にせず、ユーシャに向き直った。

「ユーシャさん。今日の放課後、ファミレスに寄って文化祭の出し物について話し合いませんか?」

「え、え?」

いきなりそんな風に誘われるとは思っていなかったようで、ユーシャは酷く戸惑っていた。

「今日は都合悪いです?」

「え…あ、いや…大丈夫、だけど」

「じゃあ、行きましょう。放課後にまた声かけますね」

目を白黒させながら、ユーシャが頷くのを確認して。

俺は何事もなかったように、自分の席に帰った。

すると、エルスキーが驚いたように俺に尋ねた。

「…どうしたんだ?ルナニア」

今まで、あのレモンティー少女のグループに、課題のノートを見せたことなんてなかった。

クラスメイトとはいえ、よく知りもしない女子生徒に、何故宿題を見せるのか。

当然の疑問だろう。

しかし。

「?別になんてことないですよ」

俺は、笑顔で誤魔化した。

クラスメイトが明らかにいじめ行為を受けているのに、平気で見て見ぬ振りをするような奴らに、とやかく言われる筋合いはない。

「ってかルナニア、宿題やってんなら俺にも見せてくれぇ~」

そこにアシベルがタイミング良く、話をずらしてくれた。

天然なのだろうが、ナイスフォローだ。

珍しく宿題やって来た甲斐があった。問題が楽勝過ぎるから五分で出来たけど。