The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

「なんか気分悪いですよね、最近」

「…何が?」

放課後、俺は例によってカモフラージュの為に、カセイと帰っていた。

彼女に対してなら、ルナニアの皮を剥ぎ捨てて好きなことを言えるから。

「いじめやってる糞女共がいるでしょう?知ってます?」

「あぁ…。ユーシャのことか」

「え?あのレモンティー少女、ユーシャって名前なんですか?」

「レモンティー…?何のことか知らんが、いじめられてるのはユーシャだぞ」

あ、ミルクティー少女の方か…。

あの子、ユーシャって名前なのか。

「かなり陰湿なことをしてるみたいだな。私もよく見る」

「ですよね。見てて不愉快で不愉快で…」

「お前ともあろう者が、いじめくらいで不愉快になるのか」

「失礼ですねあなた。俺ほど善良な心を持ったマフィアはいませんよ」

「…」

ちょっと。何で無言?

いじめで不愉快になるのは本当なんだからな。

「…まぁ、私も不愉快だな」

ぽつりと本音を溢すカセイ。

マフィアにいる人間の方が、こういうことに敏感だったりするのだ。

人を傷つける痛みも、人に傷つけられる痛みも知っているから。

「そしてあの糞ミューリア。殺意沸きますよねぇ」

「あぁ。無神経だな」

カセイとこんなに意見が一致するのって、初めてじゃないか?

「ティモニーも似たようなことを言っていたぞ。自分で何とかしろとか、そんなだからいじめられる、とかな」

「うぇ。あの馬鹿、そんなこと言ってんですか?腹立つし、もう教室爆破してやろうかな」

冗談だけど。俺はリーフリルとは違うからな。

うちのクラスって、何であんな無神経な奴が多いんだ?

「それで、どうするんだ。ユーシャを助けでもするのか?」

「あ?何で俺がそんなことを」

「不愉快だとか言ってるから」

「知りませんよ、そんなこと。ルナニアとしては、エルスキーみたいに傍観してるのが正解ですからね」

俺はルルシーみたいな、聖母のような心は持ち合わせていない。

それにルナニア・ファーシュバルとしては、このまま傍観しているべきだ。

余計なことをして目立つ必要はない。

「そうか。まぁ…元帝国騎士のお前は、その必要はないだろうな」

「…は?」

カセイのその言い方には、何か引っ掛かるものがあった。

「…どういう意味です」

「?分かって言ってたんじゃないのか」

「何を?」

「あのいじめられているユーシャは…あの女は、貴族の出身だぞ」

これは俺にとって、晴天の霹靂であった。