The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

言うまでもないが、あれはいじめ、という奴である。

俺はそのことをよく知っている。痛いほどよく知っている。

ランドエルス騎士官学校の生徒は、いじめなんて低俗なことはしないのだと思っていたが…意外にそうでもないようだ。

いじめと言っても、あのミルクティー少女がやられていることは、俺のときほど酷いものではなかった。

暴力はあるが、傷や痣が残るほどではないし。

パシリにされたり、良いようにこき使われているくらいが関の山。

まぁ、ランドエルスのチキンな馬鹿女共に、それ以上のことをする度胸があるとも思えない。

だが、それでもいじめはいじめ。

あのミルクティー少女の気の毒なことと言ったら。

おまけに、この悪意の塊のような傍観者共。

俺自身もそうだったからよく分かる。目の前で自分が酷い目に遭っているのに、見て見ぬ振りをする傍観者。

あれらは、被害者にとっては自分をいじめる加害者と同じことだ。

エルスキーもアシベルも、他のクラスメイト達も、見ているだけで何もしない。

俺は関係ない、という態度を崩さない彼らは、このクラスにいるだけで既に関係者の一人であることに気がついていない。

アシベルなんか、女こえぇ、だもんな。

あの台詞の裏を返せば、自分は男だから関係ありません、と言っているようなものだ。

関り合いになりたくない気持ちは分かる。

でも望もうと望むまいと、同じクラスにいて、あの現場を見ている時点で、既に関り合いになっているのだ。

しかも、さっきのミューリア。

あの馬鹿女。無神経な偽善者。俺の一番嫌いなタイプの人間だ。

弱い者いじめ?言いなりになるな?何様のつもりだ、あの女は。

あの言葉のせいで、ミルクティー少女は、身体を殴られるより遥かに打ちのめされたことだろう。

所詮は、傷つけられる側になったことのない人間の言い分だ。

あれを聞いたとき、俺は本気でミューリアをぶっ殺したくなった。