The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

半年勉強して、もう必要なことは皆習ったから大丈夫、と。

何が大丈夫なのか分からないけど、アシュトーリアさんが太鼓判を押したものだから。

私はアシュトーリアさんに連れられ、有無を言わさず帝都に身を移した。

今と比べると当時はもう少し小さかったが、それでも『青薔薇連合会』はあの当時から、非常に大きな非合法組織だった。

そしてその頃には、私はこの組織の全体像も見え始めていた。

アシュトーリア・ヴァルレンシーという人間が、どういう経緯でマフィアのボスになったのかも聞いていた。

彼女のような若い女性が、どうして『青薔薇連合会』の首領になれたのか。

それは単に、彼女の親が先代の首領であったからに他ならない。

『青薔薇連合会』の首領は、代々世襲制であった。

先代首領であったアシュトーリアさんの父親が亡くなったから、彼女がその跡を継いだのだ。

アシュトーリアさんは紛れもなく、マフィアである父親の血を継いでいた。彼女の才覚は並外れたものだった。あのルレイアにも、オルタンスにも匹敵するほどのリーダーシップを持っていた。それは確かだ。

けれども当時、『青薔薇連合会』にはアシュトーリアさんの敵が多かった。

アシュトーリアさんは若い女性であり、先代の実子であるとはいえ、こんな小娘に仕えるなんてプライドが許さない、と言う構成員も多かった。

今でこそ、そのような構成員は悉く淘汰されているものの。

当時、アシュトーリアさんは組織の中で孤立していた。組織に仕える者は多かったが、彼女自身に仕える者は少なかった。

私を拾ったのは、そういう理由もあったのかもしれない。

自分に仕える味方を増やしたかったのだろう。

それはともかくとして、私はアシュトーリアさんの助手のような立場で、帝都に連れていかれた。

そこで、アシュトーリアさんが使う書類を作ったり、彼女のスケジュールの管理をしたりしながら、勉強も続けていた。

毎日のように、私は一体何をやってるんだろうなぁ、と考えていた。

とにかくこの組織での暮らしは、今までの私の人生経験からは、考えられないようなことばかりだった。