The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

それから半年ほど、私はアシュトーリアさんの雇った家庭教師に、みっちりと勉強を教えられた。

読み書きを習うなんて考えたこともなかった私には、結構ハードな毎日であった。

おまけに、あれからアシュトーリアさんは「帝都に帰らなくちゃいけないの」と言うなり、一人で帝都に帰ってしまった。

私をマフィアに加入させた真意を聞く暇もないまま、帝都にトンズラしてしまったアシュトーリアさん。

なんとも釈然としないまま、私は毎日を勉強に費やした。

生まれて初めての勉強に、頭がパンクしてしまいそうだった。

けれども、それしか生きる道がないのなら、やる。

これこそ、私の信条であった。




そして、半年と少したったある日のこと。




「あら、上手に打てるようになったわね」

「…!?」

キーボードでの文字の打ち方を習い、それを一人で練習していた私のもとに。

彼女は唐突に、現れた。

驚いて振り向くと、アシュトーリアさんはにっこりと微笑んだ。

何度見ても、これがマフィアのボスだとは思えない。

「アシュトーリアさん…。何で、」

「あ、丁度良いわ。書類作りを手伝ってくれないかしら。私、パソコンで文書作るの苦手なのよね」

「は?」

久々の再会かと思ったら、仕事を頼まれた。

「それよりまず、お茶にしましょうか。ね?」

あの頃から今に至るまで、アシュトーリアさんはちっとも変わっていない。

何処まで行っても、アシュトーリアさんはアシュトーリアさんだ。

私がそれを理解するのは、もう少し先のことになるのだが…。