The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

「…別に、死ぬのが怖い訳じゃないですけど」

「なら尚更、死んで楽になるべきじゃない?」

「でも私は今、生きてるから」

「…」

それが、全ての理由だった。

私は馬鹿だし、無学だ。だから難しいことは分からない。考えようともしない。

「死んでないから。まだ生きてるから…。今は生きることだけを考えます。死んだ後楽なのかどうなのかは知りませんし、どうでも良いです。死んだ後のことなんか、今考えなくても、死ねば分かることでしょう?」

「…確かにね」

「私はいつだって、今を生きてきました。未来のことも、過去のこともどうでも良いです。後ろを振り返りもしないし前も見ません。難しいことも考えません。ただ、今この瞬間を生きる。それって、おかしいことでしょうか」

「…」

アシュトーリアさんは黙り込んで、私の持論を聞いていた。

「…死ぬときのことなんて、死ぬ一秒前にでも考えれば充分じゃないですか?」

「…ふふ」

笑われた。

あろうことか、笑われてしまった。

何がおかしい。そんなにおかしいことを言ったか?

「全くだわ。ふふふ…。あなたの言う通り。素晴らしいわね。何も間違ってはいないわ」

「…」

「あなた、色々と大事なところが破綻してるみたいね」

「…そうかもしれませんね」

あんなにたくさんの人を殺し、実の親まで殺したのだ。

私が破綻しているのは、言うまでもなかった。

「でも、そんなところが気に入ったわ…」

「…私を殺すんですか?」

改めて尋ねる。

すると、彼女はようやくその返事をくれた。

「いいえ、殺さない。あなたは、『青薔薇連合会』に入りなさい」

「…」

これにはさすがの私も、ぽかんとしてしまった。