The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

連れていかれた先は、郊外にある高層ビルの一室であった。

拷問部屋かと思ったが、違っていた。

来客時や商談の為に使う応接室だった。

そのビルは『青薔薇連合会』の拠点の一つで、帝都にある本部と比べたら、慎ましい建物だった。

しかし私の目には、まるで宮殿のお茶会にでも招かれたかのように映っていた。

「座ってちょうだい。飲み物は何が良いかしら。紅茶?コーヒー?」

「はぁ…何でも」

飲み物と言えば水しか知らない私は、紅茶だのコーヒーだのは、ただの味付きの濁った水でしかなかった。

てっきり手足を縛られて鞭で殴られるものと思っていたから、余計に。

しかも座れ、と来た。

その場に座れという意味なのかと思って、私はカーペットの上に腰を下ろした。

すると彼女はくすり、と楽しそうに笑った。

「そうじゃないわ。ソファに座って。ここに」

彼女はとんとん、とソファを指で叩いた。

あまりにも豪華そうな革張りのソファに、私みたいな薄汚い子供が座って良いのかと、しばし躊躇った。

でも、勧められては座らない訳にはいかなかった。

私は服の汚れを払って、ソファに浅く腰掛けた。

しばらくすると、使用人らしき人間が、ティーカップに入れた紅茶を持ってきた。

しかも、二つも。

何で二つなのだろうと思っていると、使用人は彼女の前にだけでなく、私の前にもティーカップを置いた。

…まさか、私にこれを飲めと?

こんな、湯気の立っている熱そうな飲み物を?

…何か、毒でも入っているのだろうか。

「ミルクは要る?お砂糖は?」

「…」

紅茶の飲み方も知らない私は、何を尋ねられているのかまるで分からなかった。

返事に困っていると、彼女は心得たとばかりに、勝手に私のティーカップに白い液体と透明な粒状の何かをさらさらと入れた。多分、あれが砂糖なんだろう。

「さぁ、飲んでみて」

「…」

そっとティーカップに口をつける。熱くて、水とは似ても似つかない複雑な味がした。