…これからどうしよう、と私は考えた。
腕を捻り上げられ、ついでに拳銃まで向けられて。
答えは簡単。考えるまでもない。
どうすることも出来ない。
この状況で、私に何が出来るのか。
彼女は私の観察眼を以てしても、見破ることが出来ないくらい手慣れたプロだ。
私のような悪ガキとは訳が違う。間違いなく本職の人だ。
そんな人に、手を出してしまったのだ。
となると、私に抗う術はなかった。
自分の力で彼女を振り切ることは出来ないし、こちらから殺そうとした以上、命乞いはするだけ無駄というもの。
せめて、一思いに殺してくれと懇願するしかない。
私はこれらのことを一瞬で考え、そして諦めた。
焦りはしなかった。恐怖も感じなかった。
終わるべきときが来たんだな、と思っただけだった。
24時間たって一日が終わるのと同じように。
15年と少したって、私の人生が終わるというだけのこと。
ただそれだけの話だった。
「あなた、私を殺そうとしたわね?」
「はい」
正直に答えただけなのに、彼女はそのあっさりとした返事に驚いたような顔をした。
「怖くはないの?私が引き金を引いたら、あなたは死ぬわよ」
「そうでしょうね」
「それとも、まだ何か策があるの?お仲間がいるとか?」
「何もありませんよ。私はずっと一人ですから。あとはあなたに殺されるのを待つだけです。せめてその拳銃を引いて、外さないで一瞬で殺してください」
「…」
何の他意もなくそう頼んだだけだというのに。
アシュトーリアさんは拳銃を収め、私の手を離した。
まさか解放されるとは思っていなかった。
彼女は私の目を、じっと見つめていた。
…自分が殺そうとした人に見つめられ、自分を殺そうとした相手を見つめるとは。
一体、これはどういうことだ?
「…良い目だわね、あなた」
「は…?」
「随分と肝が据わっていること。私を殺そうとした手腕もなかなかのものだし…。気に入ったわ」
「…」
「あなた、私と一緒に来てちょうだい。死にたくなかったら」
にこ、と笑って手を差し伸べる。
私はその手を、ぽかんと眺めていた。
…どういうことだ?これは。
私はさっきこの人を殺そうとしたのに、その人に一緒に来るようにと誘われている。
一緒に来いと言うのは、お前を拷問室に閉じ込めて死ぬまで拷問して殺してやる、という意味なのだろうか?
でもそれなら、死にたくなかったら来い、という言葉の意味が分からない。
どうせ殺すなら、今殺してくれれば良いのに。
けれども、私は先のことを考えなかった。
私の信条は、今生きることだけを考える、だった。
この一分先、十分先に殺されることになろうとも、そんな先のことはどうでも良い。
大事なのは、今生きることだった。
そして今、私が断ったり逃げようとしたら、彼女は間違いなく私を殺す。それは確かだった。
なら、その手を取るしかない。今を生きる為には。
私は彼女の手を取った。その瞬間、アシュトーリアさんは嬉しそうに目を細めた。
柔らかな手に導かれ、私は未知の場所に連れていかれた。
腕を捻り上げられ、ついでに拳銃まで向けられて。
答えは簡単。考えるまでもない。
どうすることも出来ない。
この状況で、私に何が出来るのか。
彼女は私の観察眼を以てしても、見破ることが出来ないくらい手慣れたプロだ。
私のような悪ガキとは訳が違う。間違いなく本職の人だ。
そんな人に、手を出してしまったのだ。
となると、私に抗う術はなかった。
自分の力で彼女を振り切ることは出来ないし、こちらから殺そうとした以上、命乞いはするだけ無駄というもの。
せめて、一思いに殺してくれと懇願するしかない。
私はこれらのことを一瞬で考え、そして諦めた。
焦りはしなかった。恐怖も感じなかった。
終わるべきときが来たんだな、と思っただけだった。
24時間たって一日が終わるのと同じように。
15年と少したって、私の人生が終わるというだけのこと。
ただそれだけの話だった。
「あなた、私を殺そうとしたわね?」
「はい」
正直に答えただけなのに、彼女はそのあっさりとした返事に驚いたような顔をした。
「怖くはないの?私が引き金を引いたら、あなたは死ぬわよ」
「そうでしょうね」
「それとも、まだ何か策があるの?お仲間がいるとか?」
「何もありませんよ。私はずっと一人ですから。あとはあなたに殺されるのを待つだけです。せめてその拳銃を引いて、外さないで一瞬で殺してください」
「…」
何の他意もなくそう頼んだだけだというのに。
アシュトーリアさんは拳銃を収め、私の手を離した。
まさか解放されるとは思っていなかった。
彼女は私の目を、じっと見つめていた。
…自分が殺そうとした人に見つめられ、自分を殺そうとした相手を見つめるとは。
一体、これはどういうことだ?
「…良い目だわね、あなた」
「は…?」
「随分と肝が据わっていること。私を殺そうとした手腕もなかなかのものだし…。気に入ったわ」
「…」
「あなた、私と一緒に来てちょうだい。死にたくなかったら」
にこ、と笑って手を差し伸べる。
私はその手を、ぽかんと眺めていた。
…どういうことだ?これは。
私はさっきこの人を殺そうとしたのに、その人に一緒に来るようにと誘われている。
一緒に来いと言うのは、お前を拷問室に閉じ込めて死ぬまで拷問して殺してやる、という意味なのだろうか?
でもそれなら、死にたくなかったら来い、という言葉の意味が分からない。
どうせ殺すなら、今殺してくれれば良いのに。
けれども、私は先のことを考えなかった。
私の信条は、今生きることだけを考える、だった。
この一分先、十分先に殺されることになろうとも、そんな先のことはどうでも良い。
大事なのは、今生きることだった。
そして今、私が断ったり逃げようとしたら、彼女は間違いなく私を殺す。それは確かだった。
なら、その手を取るしかない。今を生きる為には。
私は彼女の手を取った。その瞬間、アシュトーリアさんは嬉しそうに目を細めた。
柔らかな手に導かれ、私は未知の場所に連れていかれた。


