The previous night of the world revolution2〜A.D.〜

汚い仕事ではあったが、私はそれを恥とは思っていなかった。

罪の意識もなかった。

悪いことをしているのは分かっていたが、生きる為なのだから躊躇うことはなかった。

私は孤児であり、そして浮浪児であった。帝都に行けば、孤児院に入れてもらうことも出来ただろう。

しかし、私の頭の中に、行政に保護してもらうという選択肢は一度も思い浮かばなかった。

スラムで育った子供なら、そんな選択肢が頭に浮かぶことはない。

街の子供達は、どんな状況でも大人に頼ることでしか生きていけないが。

スラムの子供達は、どんなに幼かろうと、窮地に陥ったときに誰かが助けてくれるなんて思わない。自分で何とかする、自分で現状を打開することを考える。

どちらが良いとかそういう問題ではない。これは、根本的な考え方の違いだ。

だから私は最初から、誰かに頼ることは考えなかった。自分で何とかする為には、こうするしか方法が思い付かなかった。

両親を殺してスラムを出てから、もう五年の月日がたっていた。

私は15歳だった。この五年間で、私が殺した人間の数は、恐らく三桁を下らないのではないのだろうか。

略奪目的以外にも、私の犯行を目撃した者や、私を呼び止めようとした警官など、邪魔になりそうな人間は全員殺してきた。

殺すことに罪の意識はない。それは作業と同じだ。

ただ黙らせる為に。無力化する為に殺す。簡単なことだ。首もとにナイフを突き刺すだけで良い。それだけで人間の命は終わりだ。

アリをぷちっと踏み潰すのと同じこと。だから、私は自分が同じように踏みつけられ、殺されたとしても、少しも恨みはしなかっただろう。

こんなことをしているのだ。いつ殺されても文句は言えないし、その覚悟はしているつもりだった。

これは、今でも変わらない。

ましてや私は、自らの両親さえ手にかけた畜生だ。地獄に落とされるのは当然のことだった。

でも、そんな死後のことなんて考えない。

今考えるべきは、今最善を尽くして生きること。これ以外にはない。

その不屈の精神で、私は生きてきた。

五年間ずっと一人ぼっちで、誰にも頼らず、自分の力だけで生きてきた。

こんな生活を、いつまで続けられるのかは分からない。

ただ、今を生きるだけの話だ。