全く、何でこんな愛想のない女を落とさなければならないのか。
高飛車な女は好きだが、ここまで融通が利かないのは逆に扱いにくい。
それでも、これもお仕事だ。やらなくては。
「送りますから、一緒に帰りましょう?」
「…良いけど」
「ありがとうございます」
出来るだけ爽やかな笑顔を心掛けながら、ハバナの隣を歩く。
歩きつつ、何と切り出そう、と考えていた。
何と言えば彼女は…。
「…ハバナさん、実はお話があるんですけど」
「何?」
「えっと…驚かないで、聞いてくださいね」
「…」
そのときになって初めて、ハバナは俺に対して表情を変えた。
酷く迷惑そうな顔になった。
その容姿故にモテる彼女は、俺が何を言おうとしているのか、大体察したのだろう。
「悪いけど。私、彼氏とか、色恋に興味はないから。そういうのは困るわ」
なんとまぁ。身も蓋もない。
断るにしても、もう少し言い方というものがあろうに。
でも、そのクールなところ、俺は嫌いじゃない。
滾る。
「そう言わないで…話だけでも聞いてくださいよ」
「聞くのは良いけど、私の気持ちは変わらないわ」
「誰か、好きな人でもいるんですか?」
「いいえ、元々恋愛に興味がないだけ」
「それはそれは…。人生損しますよ。恋が世界を変えるってのは本当ですから」
実際、俺もそうだった。
いつの時代も、人を狂わせるのは愛。
そして、それと相反する感情。
…憎しみ、という奴だ。
俺は笑った。ルナニアではない、ルレイアとしての笑みを浮かべた。
『青薔薇連合会』幹部、ルレイア・ティシェリーとしての笑みを。
「あなたが欲しいんです。駄目ですか?」
「駄目よ。あなたのことは好きじゃない。他の誰も」
「それは残念…。まるで狼ですね。一匹狼…。いや、あなたは狼ではなく、猫でしたね」
「…何を言ってるの」
ハバナの厳しい目が、射抜くように俺を睨んだ。
「哀れで、惨めで、厄介な孤高の存在。箱庭から追放された迷い猫。『シュレディンガーの猫』。随分大層な名前をつけたものですね?」
俺がそう言った瞬間、ハバナは制服の内側に仕込んでいた拳銃を、俺の喉元に向けた。
高飛車な女は好きだが、ここまで融通が利かないのは逆に扱いにくい。
それでも、これもお仕事だ。やらなくては。
「送りますから、一緒に帰りましょう?」
「…良いけど」
「ありがとうございます」
出来るだけ爽やかな笑顔を心掛けながら、ハバナの隣を歩く。
歩きつつ、何と切り出そう、と考えていた。
何と言えば彼女は…。
「…ハバナさん、実はお話があるんですけど」
「何?」
「えっと…驚かないで、聞いてくださいね」
「…」
そのときになって初めて、ハバナは俺に対して表情を変えた。
酷く迷惑そうな顔になった。
その容姿故にモテる彼女は、俺が何を言おうとしているのか、大体察したのだろう。
「悪いけど。私、彼氏とか、色恋に興味はないから。そういうのは困るわ」
なんとまぁ。身も蓋もない。
断るにしても、もう少し言い方というものがあろうに。
でも、そのクールなところ、俺は嫌いじゃない。
滾る。
「そう言わないで…話だけでも聞いてくださいよ」
「聞くのは良いけど、私の気持ちは変わらないわ」
「誰か、好きな人でもいるんですか?」
「いいえ、元々恋愛に興味がないだけ」
「それはそれは…。人生損しますよ。恋が世界を変えるってのは本当ですから」
実際、俺もそうだった。
いつの時代も、人を狂わせるのは愛。
そして、それと相反する感情。
…憎しみ、という奴だ。
俺は笑った。ルナニアではない、ルレイアとしての笑みを浮かべた。
『青薔薇連合会』幹部、ルレイア・ティシェリーとしての笑みを。
「あなたが欲しいんです。駄目ですか?」
「駄目よ。あなたのことは好きじゃない。他の誰も」
「それは残念…。まるで狼ですね。一匹狼…。いや、あなたは狼ではなく、猫でしたね」
「…何を言ってるの」
ハバナの厳しい目が、射抜くように俺を睨んだ。
「哀れで、惨めで、厄介な孤高の存在。箱庭から追放された迷い猫。『シュレディンガーの猫』。随分大層な名前をつけたものですね?」
俺がそう言った瞬間、ハバナは制服の内側に仕込んでいた拳銃を、俺の喉元に向けた。


