閉店2時間前には、カフェの外にできていた行列はすっかり解消されていた。だが、店内はまだ満席の状態が続いている。テイクアウト側のガラス窓に面したカウンター席にも、数名のお客様が座っていた。
ようやく、日中の喧騒が落ち着き始めた頃、事務所での業務を終え、美愛ちゃんにメッセージを送った。
するとすぐに、彼女から返信が届く。
その内容に、思わず目を見張った。
え? 今、店内にいる?
驚きと喜びが一気にこみ上げ、足早にカフェへ向かった。
廊下を抜けて店内へと続くドアを開けるとすぐに、愛しい彼女の姿が目に飛び込んできた。
「美愛ちゃん!」
思わず名前を呼び、人目もはばからず、駆け寄って彼女を抱きしめる。腕の中に閉じ込めたまま、頭頂にそっとキスを落とした。
「み、雅さん……っ。ここ、お店……、まだお客様が……」
戸惑った声でそう言う彼女に、申し訳なさを感じつつも今日は、どうしてもこのぬくもりが欲しかった。
一日中、君に会いたかった。
だから、あと少しだけこのままでいさせてくれ──そう願いながら。
ちょうどそのとき、カフェから出てきた女性グループと鉢合わせになった。その中の一人が、携帯をこちらに向けたのが視界に入る。
まずい、すぐに止めないと。
「お客様、恐れ入ります。私たちの写真や動画の撮影はご遠慮いただいております。ご理解とご協力、ありがとうございます」
すぐに仕事モードへと切り替え、落ち着いた口調でお願いした。女性はすぐに納得し、スマホを下げてくれた。
そうか。美愛ちゃんが先週言っていた“見せ物になる”という言葉の意味が、今やっと分かった気がする。
俺たちは芸能人ではない。
それなのに、なぜ無断で撮影しようとするのか。
これまでも写真を撮られることはあったが、
子どもの頃からのことだったせいか、あまり気にしていなかった。
でも今は違う。今は、俺の隣に美愛ちゃんがいる。
だからこそ、彼女を人目にさらしたくないと強く思う。
副店長の鈴木さんに美愛ちゃんを紹介したところ、彼女の目がほんのり赤く潤んでいることに気がついた。
どうやら、カフェ内に飾られたモノクロの写真ポスターを見て、昔のことをいろいろ思い出し、涙ぐんでしまったらしい。
そういえば、あのポスターとロゴマークポスターのこと、まだ彼女に何も伝えていなかった。
昨日、彼女が来たときには、まだ設置されていなかったからな──。
閉店後は、杉山がカフェの締め作業を引き受けてくれることになっていた。俺と美愛ちゃんは、車に乗り込み、そのままホテル9(クー)へと向かった。
ようやく、日中の喧騒が落ち着き始めた頃、事務所での業務を終え、美愛ちゃんにメッセージを送った。
するとすぐに、彼女から返信が届く。
その内容に、思わず目を見張った。
え? 今、店内にいる?
驚きと喜びが一気にこみ上げ、足早にカフェへ向かった。
廊下を抜けて店内へと続くドアを開けるとすぐに、愛しい彼女の姿が目に飛び込んできた。
「美愛ちゃん!」
思わず名前を呼び、人目もはばからず、駆け寄って彼女を抱きしめる。腕の中に閉じ込めたまま、頭頂にそっとキスを落とした。
「み、雅さん……っ。ここ、お店……、まだお客様が……」
戸惑った声でそう言う彼女に、申し訳なさを感じつつも今日は、どうしてもこのぬくもりが欲しかった。
一日中、君に会いたかった。
だから、あと少しだけこのままでいさせてくれ──そう願いながら。
ちょうどそのとき、カフェから出てきた女性グループと鉢合わせになった。その中の一人が、携帯をこちらに向けたのが視界に入る。
まずい、すぐに止めないと。
「お客様、恐れ入ります。私たちの写真や動画の撮影はご遠慮いただいております。ご理解とご協力、ありがとうございます」
すぐに仕事モードへと切り替え、落ち着いた口調でお願いした。女性はすぐに納得し、スマホを下げてくれた。
そうか。美愛ちゃんが先週言っていた“見せ物になる”という言葉の意味が、今やっと分かった気がする。
俺たちは芸能人ではない。
それなのに、なぜ無断で撮影しようとするのか。
これまでも写真を撮られることはあったが、
子どもの頃からのことだったせいか、あまり気にしていなかった。
でも今は違う。今は、俺の隣に美愛ちゃんがいる。
だからこそ、彼女を人目にさらしたくないと強く思う。
副店長の鈴木さんに美愛ちゃんを紹介したところ、彼女の目がほんのり赤く潤んでいることに気がついた。
どうやら、カフェ内に飾られたモノクロの写真ポスターを見て、昔のことをいろいろ思い出し、涙ぐんでしまったらしい。
そういえば、あのポスターとロゴマークポスターのこと、まだ彼女に何も伝えていなかった。
昨日、彼女が来たときには、まだ設置されていなかったからな──。
閉店後は、杉山がカフェの締め作業を引き受けてくれることになっていた。俺と美愛ちゃんは、車に乗り込み、そのままホテル9(クー)へと向かった。



