ここで京兄さま方、慶智の王子たちが佐藤麻茉の件について説明し、自分たちにも責任があると言ってくれた。しかし、おじいちゃんとおばあちゃんも巻き込んで、5人の30代の男性たちがお説教を受けている。その間、葵さんはお説教チームに相槌を打っているが......


煽っていない?
しかも、葵さんの顔、めっちゃ悪い顔をしてニヤけてる!


なんだか、実家に似すぎていて、思わず笑いがこみ上げてきた。どうしても父さまが、我が家の女性陣3人にお説教されている姿と重なってしまう。


「ウフフフ」

 
一瞬静まり返り、皆が私に注目している。


しまった、またやってしまった!
自分の心の中だけに留めておけばよかったものを。


「ご、ごめんなさい」


頭を下げて謝ったが、雅さんに謝罪の理由を尋ねられた。


「あのね......失礼なことをしちゃったから。私、笑っちゃったでしょう? あのね、うちの実家に似ていると思ったの。父さまが母さまや圭衣ちゃんたちにお説教されているところを思い出しちゃって」


みんなが大爆笑した。訳がわからなく困惑している私に、葵さんが教えてくれる。


「なんだ、安心したわぁ。美愛ちゃんのお家も、うちのような感じなんでしょう? よかった〜。実はさ、私たち全員が緊張していたのよ。うちってこんな感じじゃない? だから、雅のお嫁さんに引かれるんじゃないかと思って。でも、取り繕ってもこっちが苦しくなるし、いずれ分かっちゃうしね。だから素のままでいこうって。ありがとうね、雅と結婚を決めてくれて。」


葵さんが私に伝え終えると、みんながニコニコ笑ってくれていた。


「えっ、あ、あの......私でいいのでしょうか?」


旧華族の西園寺家に対して、私なんてという気持ちはあった。やはり不安を感じていのた。


「美愛ちゃんが雅のお嫁ちゃんだなんて、本当に嬉しいわ。ありがとう」


涙ぐみながら、ママさんは雅さんたちの不甲斐なさで、私が傷ついたことを謝罪してくれた。




みんなで私たちが持ってきたシュトゥルーデルをいただきながら、たくさんおしゃべりした。雅さんと一緒に料理をすることや、結婚式や披露宴のこと、皆の昔話や私の家族の話も出る。
なぜか、慶智の王子たちの間で圭衣ちゃんの武勇伝が広まり、花村姉妹が別の意味で面白いと話題になっているとか。


一体圭衣ちゃん何をしたのよ?


西園寺家では、特に結婚式や披露宴にこだわっているわけではなく、私たちの望むように進めて良いと。ただし、やはり会社の関係で、いつか私のことを紹介する機会を設けなければならない。マスターがカフェBon Bonの記念パーティの際に紹介すれば、それで十分だと提案してくれた。