続お菓子の国の王子様〜結婚に向けて〜       花村三姉妹  美愛と雅の物語

たっぷりの泡に包まれながら、雅さんが優しく私の髪を撫で、肩に手を添える。

 
その手のひらの温もりに触れた瞬間、
緊張していた心がふわりとほどけていく。

 
熱いシャワーのせいなのか、それとも、彼のやさしさが染みこんでくるからなのか、体も心も、だんだんとぽうっとしてきた。

 
「……、そろそろ、ベッドでゆっくりしようか」

 
バスタオルにくるまれたまま、雅さんにそっと抱き上げられる。ふかふかのベッドへと運ばれ、やわらかなシーツの上に優しく降ろされた。

 
彼が耳元で甘くささやく。頬にキスが落ち、髪をすくいながら、笑うその声がくすぐったい。

 
「そんなに俺のこと、欲しそうな顔してる」

「お、お願い……」

 
それだけで、胸の奥が熱くなっていく。彼にじっと見つめ返されただけで、どきん、と胸が跳ねた。

 
「美愛ちゃんが愛していいのは……、俺だけ。わかってるよね?」

 
その低く甘い声に、涙がこぼれそうになる。

 
「うん……。雅さんだけ」

 
私の小さな声に、雅さんは満足そうに微笑んだ。

 
「お誕生日おめでとう。美愛ちゃん、愛してるよ」

 
この夜、私たちは、たくさんの『好き』と『ありがとう』を重ね合った。

 
気がつけば、私はいつの間にか眠ってしまっていたらしい。





翌朝目を覚ますと、私は雅さんの腕の中にいた。

 
彼の体温に包まれながら、ゆっくりと呼吸する寝息。どこか懐かしい、安心する香りがして、胸がきゅっとなる。

 
「幸せだな……」

 
つぶやいたその言葉は、声にはならずただ、心の奥で静かにこぼれ落ちていった。