続お菓子の国の王子様〜結婚に向けて〜       花村三姉妹  美愛と雅の物語

もうすぐパーティーが始まる。

 
開始前の最終ミーティングが終わり、皆がそれぞれの配置についた。社長、副社長、美奈子さん、そして私が入口から一番奥のステージ付近にいると、招待者の皆さまが入室してきた。





今回、円卓と椅子を用意し、皆様が座ってメニューを楽しめるようにしたが、食べ物はビュッフェスタイルにしたため、各自で取りに行ってもらう。この部分が立食スタイルなのだろう。

 
マスコミの方々による写真およびビデオ撮影は、社長のスピーチの際にのみ許可された。後日、改めてこちらが選んだメディアのインタビューを受ける予定。

 
大丈夫、大丈夫。雅さんのスピーチはそんなに長くないと思うし、緊張している時間もきっとあっという間に過ぎてしまうよね。

 
総務部の男性社員が司会を務め、いよいよ社長と副社長のスピーチが始まる。
だけど……。

 
(あれ? 声は聞こえているのに、なんだか遠くで響いているみたい……)

 
ステージに立った雅さんと副社長の言葉が、ふわふわと宙を舞っていて、頭に入ってこない。緊張で、もう胸がドキドキして、それどころじゃない。

 
そして、その時だった。

 
「私、西園寺雅は、花村美愛さんと婚約いたしました」

 
えっ……?

 
頭の中が真っ白になった。

 
──今、なんて言ったの……?

 
会場がどよめき、拍手が湧き上がる中、私はただ呆然として立ち尽くしていた。足がすくんで、ステージへ向かうタイミングすら分からない。

 
ステージを降りてきた雅さんが、まっすぐ私の方へ歩いてくる。

 
(だめ……、行かなきゃ……、でも、足が動かない……)

 
なんとか前に踏み出そうとしたその瞬間、足がもつれて、身体がふらりと傾いた。

 
あっ……!

 
倒れそうになった私を、雅さんがすぐに抱きとめてくれた。

 
「やっと俺の元に来てくれたね、可愛いお姫様。大丈夫だよ、そばにいるから」

 
優しく、でもしっかりと抱きしめられて、私はその腕の中で小さく息をのんだ。

 
あたたかい。
この人がいる。もう大丈夫だ……。