雅さんに連れられて来た部屋のドアをノックする。


中に入ると、ケヤキの大きな一枚板のローテーブルが2卓並んでいる。上座には、お年を召した男女が座っていた。


「おかえり、雅ちゃん。まあ、そちらのお嬢さんがお嫁ちゃん?」

「よく来てくれたね。騒がしい家で驚いただろう?」


雅さんにこの2人が彼の祖父母であると教えてもらう。緊張している私が挨拶をしていると、先ほどの5人が戻ってきた。
不意に葵さんに引っ張られ、椅子に倒れるように座らされた。


「ねえねえ、私のことも呼んでみて。あっ、ちょっと待って! 確かお姉さんがいるんだよね? お姉さんは何て呼んでるの?」

「あ、あの……そのまま名前で、圭衣ちゃんとようちゃんです」

「そっか、じゃあ私はあおちゃんって呼んでね!」

「おい、葵。お前、どけよ! 今日はじいちゃんたちに挨拶に来たんだから」


雅さんが睨みつけながら葵さんに言う。


「少しくらい、いいじゃないの。いやねぇ〜、束縛する男は嫌われるよ」


挑発する葵さんと私を間に挟んで、姉弟の喧嘩が始まった。
それを誰も止めることなく、むしろみんな、笑って楽しんでる?


ど、どうすればいいの?