続お菓子の国の王子様〜結婚に向けて〜       花村三姉妹  美愛と雅の物語

「……、話してみなよ」

 
さすがようちゃん。私が何も言わなくても、ちゃんと気づいてくれてたんだね。

 
「あのね……、私、最低なんだよ。雅さんの夢が叶う日なのに。今日、たくさんの人の前で婚約発表しなきゃいけないのが、すごく嫌で……。まるで見せ物みたいでさ。また誰かに何か言われるんじゃないかって思うと……、怖くて……」

 
ようやく、自分の気持ちを吐き出せた。そしたらようちゃんが、ぎゅっと私を抱きしめてくれた。

 
「……、あんたの性格からすると、こういうのは苦手だよね。どれだけ好きな人と一緒になれたとしても、慣れないものは慣れないもんだよ。でさ、雅さんには、その気持ち、ちゃんと伝えたの?」

 
「い、言えるわけないよ……!今日って、彼にとっても会社にとっても、大事な日なのに……。そんな日に、自分のわがままみたいなこと……、言えないよ……。……、私、こんな自分が本当に嫌い」

 
「……、美愛は、自分のことを過小評価しすぎだよ。『自分は雅さんに相応しくない』って……、そう思ってるんでしょ?」

 
図星だった。思わず、ようちゃんの顔を見てしまう。

 
「ねぇ、なんで雅さんに言えないの?雅さんがさ、あんたにプレッシャーかけてるとか、そういうこと?」

 
「ち、違うよ……! そんなこと絶対にない。いつも、私が言えるまで待ってくれるし……」

 

「……、あたしがいつでも、あんたの味方だってことは分かってるよね?」

 
そう言ったあとで、ようちゃんの声色が少しだけ厳しくなった。

 
「じゃあ──はっきり言うよ。もう婚約、解消したら? 嫌なんでしょ? こういうの。
雅さんと結婚すれば、これからもずっと世間の注目を浴び続けるんだよ? そのたびに、怖いとか、恥ずかしいとかって言って逃げるの? それに──ちゃんと気持ちを伝えなかったのは“あんた”だよ。自分で言わないって決めて、勝手に一人でウジウジしてる。今日って、雅さんにとって“特別な日”なんだよ?
それなのに、こんな態度でいるなんて、雅さんが可哀想すぎる」