「出会った時の彼女の言葉が、この会社を立ち上げるきっかけとなり、俺自身も救われた。……、俺が一生、愛し、守ると誓った女性、それが婚約者の花村美愛さんです」
そう締めくくった瞬間、社内に拍手が起こった。それも、想像していた以上の喝采う
……、あれ?
え、まさか……、こんなに?
ざわめきや混乱ではなく、純粋な祝福の空気。その場にいた社員たちが、温かな目で俺たちを見ていた。
「……、どうやら、みんなすでに気づいていたみたいだね」
そう小声で呟くと、美愛ちゃんが呆然とした顔でこちらを見上げていた。
必死に隠していたつもりだった。会社では気をつけて距離を保っていたし、表情にも出さないよう心がけていたのに。なのに、どうして……?
「みんな知ってたんだよ、花村さん」
静かに声をかけてきたのは、総務部長の杉山だった。柔らかな笑みを浮かべながら、続ける。
「だって社長は、いつも君のことを目で追ってたし……。他の男が近づくと、殺気のこもった目で睨んでたからね。それに、花村さんが入社してからの社長、すごく穏やかになったって、社内でも評判だったよ」
……俺、そんなに分かりやすかったのか?
不意を突かれて、思わず苦笑いがこぼれる。
言われてみれば、美奈子さんや大和には『感情が顔に出る』とよく指摘されていたっけ。
たしかに、他の女性社員には一定の距離を保っていたし、礼儀正しくても親しげに話すことはほとんどなかった。そのぶん、美愛ちゃんに対する態度が、目立っていたのかもしれない。
まあ……、こうして祝福してもらえるのなら、結果オーライ、か。
あ──そういえば、もうひとつ大事な話があった。
「それから、もうひとつ。みんなには伝えておきたいことがある。……、もう気づいていると思うが、以前、佐藤麻茉が社内メールで送ってきた写真。あれに写っていたのは、俺と美愛ちゃんだ」
社員たちがざわつき、なかには驚いた表情の者もいる。だが、隠しておく理由はもうない。
「そしてCool Beautyの社長と副社長は、美愛ちゃんの姉たちだ。これで、あのメールがいかに誤解を招くものだったか、分かってもらえると思う」
堂々とした声でそう告げると、空気が引き締まったような気がした。誤解はしっかりと解いておく。それも、彼女の名誉のためだ。
「最後にみんなにお願いがある。この婚約と結婚については、カフェBon Bonのパーティーで正式に発表する予定だ。だから、それまでは社外やSNSなどに漏らさないでほしい。
……、美愛ちゃんの安全を最優先に考えての判断だ。どうか、協力してくれ」
一瞬の沈黙のあと、次々と声が上がった。
「了解です」
「おめでとうございます」
ありがとう、みんな。
美愛ちゃんの手を握る力に、自然と少し力が入る。これからは、堂々と一緒に歩んでいける。そう思った瞬間、胸の奥から熱いものが込み上げてきた。
そう締めくくった瞬間、社内に拍手が起こった。それも、想像していた以上の喝采う
……、あれ?
え、まさか……、こんなに?
ざわめきや混乱ではなく、純粋な祝福の空気。その場にいた社員たちが、温かな目で俺たちを見ていた。
「……、どうやら、みんなすでに気づいていたみたいだね」
そう小声で呟くと、美愛ちゃんが呆然とした顔でこちらを見上げていた。
必死に隠していたつもりだった。会社では気をつけて距離を保っていたし、表情にも出さないよう心がけていたのに。なのに、どうして……?
「みんな知ってたんだよ、花村さん」
静かに声をかけてきたのは、総務部長の杉山だった。柔らかな笑みを浮かべながら、続ける。
「だって社長は、いつも君のことを目で追ってたし……。他の男が近づくと、殺気のこもった目で睨んでたからね。それに、花村さんが入社してからの社長、すごく穏やかになったって、社内でも評判だったよ」
……俺、そんなに分かりやすかったのか?
不意を突かれて、思わず苦笑いがこぼれる。
言われてみれば、美奈子さんや大和には『感情が顔に出る』とよく指摘されていたっけ。
たしかに、他の女性社員には一定の距離を保っていたし、礼儀正しくても親しげに話すことはほとんどなかった。そのぶん、美愛ちゃんに対する態度が、目立っていたのかもしれない。
まあ……、こうして祝福してもらえるのなら、結果オーライ、か。
あ──そういえば、もうひとつ大事な話があった。
「それから、もうひとつ。みんなには伝えておきたいことがある。……、もう気づいていると思うが、以前、佐藤麻茉が社内メールで送ってきた写真。あれに写っていたのは、俺と美愛ちゃんだ」
社員たちがざわつき、なかには驚いた表情の者もいる。だが、隠しておく理由はもうない。
「そしてCool Beautyの社長と副社長は、美愛ちゃんの姉たちだ。これで、あのメールがいかに誤解を招くものだったか、分かってもらえると思う」
堂々とした声でそう告げると、空気が引き締まったような気がした。誤解はしっかりと解いておく。それも、彼女の名誉のためだ。
「最後にみんなにお願いがある。この婚約と結婚については、カフェBon Bonのパーティーで正式に発表する予定だ。だから、それまでは社外やSNSなどに漏らさないでほしい。
……、美愛ちゃんの安全を最優先に考えての判断だ。どうか、協力してくれ」
一瞬の沈黙のあと、次々と声が上がった。
「了解です」
「おめでとうございます」
ありがとう、みんな。
美愛ちゃんの手を握る力に、自然と少し力が入る。これからは、堂々と一緒に歩んでいける。そう思った瞬間、胸の奥から熱いものが込み上げてきた。



