続お菓子の国の王子様〜結婚に向けて〜       花村三姉妹  美愛と雅の物語

斜め前に座って、ハーブティーのリストを作っている美愛ちゃん。湯上がりの浴衣姿が、いつもよりどこか大人びて見える。無造作にまとめた髪から垂れる後れ毛が、妙に色っぽく感じた。

 
首筋に、そっとキスしたくなる。そんな衝動を、なんとか理性で抑え込む。

 
最近は、ほぼ毎晩一緒に眠っているせいで彼女のクセや、寝るときの服装まで自然と覚えてしまっていた。

 
……、あの浴衣の中、今夜はどんなふうに彼女を包んでいるんだろう?


そんなことを考えてしまって、思わず喉が渇く。


ヤバい、集中しろ、俺。

 
気持ちを落ち着けるために、彼女が渡してくれたミネラルウォーターを一気に飲み干した。

 
「雅さん、できました」

「あっ、ありがとう。今すぐ大和に送らないと」

 
ちょうどいいタイミングで、美愛ちゃんがリストを差し出してくれる。受け取ってタブレットを操作しながら、大和にデータを送信。


そのとき、また彼女の“心の声”が聞こえてきた。

 
「一応、それぞれの症状に合わせてセットしたけれど……、人によっては、自分の好みのお茶を選びたいかも。もしBon Bonのウェブサイトでネットオーダーができたら、ハーブティーだけじゃなくて、お菓子と組み合わせて、自分だけのオリジナルギフトセットが作れるのに……」

 
「美愛ちゃん、それ……、めちゃくちゃいいアイデアだよ。これも大和に伝えなきゃ」

 
すぐに大和に連絡し、ネットオーダー機能の構築を提案。それに合わせて、元原と千保さんにもシステム面の対応を依頼することにした。

 
彼女に俺の隣へ来るよう、左手で畳を軽く叩いて合図する。

 
「大和が、すぐに全部手配してくれるって。
12月のはじめには、限定でスーパー伊乃国屋でハーブティーセットを販売できそうだよ。
ロゴ入りのカップやぬいぐるみは、カフェBon Bonのオープン日、2月以降の販売になる。ネット販売の方も、元原と千保さんにシステム構築を頼んだから。……、全部、美愛ちゃんのおかげだね。ありがとう」


そう言いながら、つい手を伸ばしたくなる。
頭を撫でたいとか、抱きしめたいとか、そんな想いが胸の奥からじわじわあふれてくる。



まだ少しだけ、距離を取るつもりだったはずなのに。でも……、彼女の隣にいると、理屈なんて簡単に吹き飛んでしまう。