いつもよりも優しいキスは、どこか少し違っていた。耳元で『愛してる』と何度も囁かれ、首筋や鎖骨に触れる唇のぬくもりに、胸の奥がじんわりと熱を帯びていく。


気づけば、浴衣の帯がほどけて、肩が少しだけ露わになっていた。思わず胸元を押さえる。


「隠さなくていいよ。美愛ちゃんは、とても綺麗だよ」


そう優しく囁きながら、雅さんはそっと私の手を取ってくれた。


顔が熱くなって、思わず目を逸らしてしまう。それでも彼のまなざしはまっすぐで、胸の鼓動が高鳴る。


たくさんのキスに、心も体もふわふわと浮かぶような感覚になる。彼のぬくもりに包まれるたびに、心の奥にしまい込んでいた不安が、そっとほどけていくのがわかった。


どれだけ大切に想われているのかそのすべてが、言葉ではなく彼の愛から伝わってきた。
そして自然と、目元に涙がにじんでしまった。


でもそれは、悲しさじゃない。あたたかくて、やさしくて……、ただ、幸せすぎてこぼれた涙だった。


雅さんの胸に顔をうずめて、ぽつりと呟く。


「ありがとう」


彼は微笑んで、そっと私の髪を撫でてくれた。


その夜、私たちはひとつの布団で、寄り添うように眠った。彼の腕の中、あたたかなぬくもりに包まれながら私は静かに、穏やかな眠りに落ちていった。





そして朝。目を開けたとき、世界が少しだけ、優しく変わって見えた。


胸の奥にぽっと灯った灯火が、今もずっと消えずに、私の中で優しく揺れている。