この後の話は、カフェBon Bonのロゴマークに関するものだった。時間が限られていた俺と大和は、急いでみんなの意見を求めた。
結果的に、美愛ちゃんがまたしても俺に幸運をもたらしてくれた。カフェBon Bonのロゴマークだけでなく、会社のロゴマークまでもが一気に決定したのだ。
特に株式会社Bon Bonのロゴマークは、俺と美愛ちゃんの出会いを象徴するようなデザインになっている。ふたりで交わした“お菓子屋さんを開く”という約束。その約束を象徴するように、俺たちのシルエットと、犬のBon Bonが描かれている。
もちろん、カフェのロゴマークは、美愛ちゃんの愛犬・プードルからインスピレーションを得たものだ。彼女の無垢で優しいアイデアが、こんなにも素敵な形になるとは思わなかった。
そして今、母さんと美愛ちゃんは、俺たちの大好物であるバナナブラウニーを一緒に作ってくれている。ばあちゃんも含め、女性陣は自然とキッチンへと集まっていった。
その間に、俺たち男性陣は、ここぞとばかりに“後処理”の話を始めることに。こういう話は、できれば女性たちには聞かせたくない。今のうちに済ませておくのが一番だ。
【佐藤家の結末】
佐藤一家については、涼介の事務所での話し合いのあと、すぐに税務署が動いたようで、結果、彼らはすべてを失った。今では北海道の実家に戻り、酪農の手伝いをしているらしい。
あのわがままで高慢だった佐藤麻茉が、牛の世話をしているというのだから、信じがたい話だ。
そして、佐藤が関わっていた三光銀行も、その一件でダメージを受け、さらに業績が悪化しているという。自業自得とはいえ、連鎖の影響は想像以上に大きかった。
【その後のふたり】
香月いより君と三輪紫道君は、結局別れることになった。いより君はアメリカへと渡り、紫道君はホテル9〈クー〉で店を続けている。
驚いたのはその紫道君の新たなパートナーだ。なんと、圭衣ちゃんの紹介で、すでに新しいジュエリー職人と組んで動き出しているという。
人との縁は、ほんの少しのきっかけで、いくらでも変わっていくのだと実感させられた。
【秘密裏の警護計画】
そして、ここからが最も重要な話。
俺は美愛ちゃんに、ボディーガードチームをつけることを決めた。
もちろん、彼女本人には『嘘はつかない』と約束している。だから、ボディーガードがつくこと自体は正直に伝えるつもりだ。
だが、それでも彼女がストレスを感じないように、実際の警備は“気づかれない形”で行う。この件については、すでにジョセフさんとも相談済みだ。
リベラル派の父さんでさえ、俺や京兄との結婚に関しては、家同士の繋がりを重視する人間が多いことを認めていた。
涼介と鈴音ちゃんのときも、すでに入籍したあとですら、“隙あらば”と妻の座を狙うような女性たちが現れた。
俺のかけがえのない美愛ちゃんを、絶対にそんな目に遭わせたくない。
涼介の紹介で、信頼できる警備・警護会社と契約することができた。実はこの会社以前、美愛ちゃんがアパートから引っ越す際にも手伝ってくれた、あのチームだ。顔を知られていないが有能なスタッフばかりで、極秘任務にはうってつけだった。
きっと今頃、キッチンでは、うちの女性陣が美愛ちゃんに色々と“実戦的な助言”をしている頃だろう。
『パーティーでは決して一人にならないように』
『トイレに行く時も必ず知り合いと一緒に』
『誰かに何かを言われても、ひとりで抱え込まないように』──といった具合に。
もちろん、株式会社Bon Bonの社員たちは、そういったことはしないだろう。だが、世の中、どこで誰が狙ってくるか分からない。
備えておくに越したことはない。
週明け、社内で俺たちの婚約を発表する予定だ。ただし、これは極秘扱いとして行う。
マスコミや関係各所への正式な披露は、2月に予定しているパーティーで行う段取りになっている。
美愛ちゃんとの未来へ向けて少しずつ、確実に、歯車が動き始めている。
結果的に、美愛ちゃんがまたしても俺に幸運をもたらしてくれた。カフェBon Bonのロゴマークだけでなく、会社のロゴマークまでもが一気に決定したのだ。
特に株式会社Bon Bonのロゴマークは、俺と美愛ちゃんの出会いを象徴するようなデザインになっている。ふたりで交わした“お菓子屋さんを開く”という約束。その約束を象徴するように、俺たちのシルエットと、犬のBon Bonが描かれている。
もちろん、カフェのロゴマークは、美愛ちゃんの愛犬・プードルからインスピレーションを得たものだ。彼女の無垢で優しいアイデアが、こんなにも素敵な形になるとは思わなかった。
そして今、母さんと美愛ちゃんは、俺たちの大好物であるバナナブラウニーを一緒に作ってくれている。ばあちゃんも含め、女性陣は自然とキッチンへと集まっていった。
その間に、俺たち男性陣は、ここぞとばかりに“後処理”の話を始めることに。こういう話は、できれば女性たちには聞かせたくない。今のうちに済ませておくのが一番だ。
【佐藤家の結末】
佐藤一家については、涼介の事務所での話し合いのあと、すぐに税務署が動いたようで、結果、彼らはすべてを失った。今では北海道の実家に戻り、酪農の手伝いをしているらしい。
あのわがままで高慢だった佐藤麻茉が、牛の世話をしているというのだから、信じがたい話だ。
そして、佐藤が関わっていた三光銀行も、その一件でダメージを受け、さらに業績が悪化しているという。自業自得とはいえ、連鎖の影響は想像以上に大きかった。
【その後のふたり】
香月いより君と三輪紫道君は、結局別れることになった。いより君はアメリカへと渡り、紫道君はホテル9〈クー〉で店を続けている。
驚いたのはその紫道君の新たなパートナーだ。なんと、圭衣ちゃんの紹介で、すでに新しいジュエリー職人と組んで動き出しているという。
人との縁は、ほんの少しのきっかけで、いくらでも変わっていくのだと実感させられた。
【秘密裏の警護計画】
そして、ここからが最も重要な話。
俺は美愛ちゃんに、ボディーガードチームをつけることを決めた。
もちろん、彼女本人には『嘘はつかない』と約束している。だから、ボディーガードがつくこと自体は正直に伝えるつもりだ。
だが、それでも彼女がストレスを感じないように、実際の警備は“気づかれない形”で行う。この件については、すでにジョセフさんとも相談済みだ。
リベラル派の父さんでさえ、俺や京兄との結婚に関しては、家同士の繋がりを重視する人間が多いことを認めていた。
涼介と鈴音ちゃんのときも、すでに入籍したあとですら、“隙あらば”と妻の座を狙うような女性たちが現れた。
俺のかけがえのない美愛ちゃんを、絶対にそんな目に遭わせたくない。
涼介の紹介で、信頼できる警備・警護会社と契約することができた。実はこの会社以前、美愛ちゃんがアパートから引っ越す際にも手伝ってくれた、あのチームだ。顔を知られていないが有能なスタッフばかりで、極秘任務にはうってつけだった。
きっと今頃、キッチンでは、うちの女性陣が美愛ちゃんに色々と“実戦的な助言”をしている頃だろう。
『パーティーでは決して一人にならないように』
『トイレに行く時も必ず知り合いと一緒に』
『誰かに何かを言われても、ひとりで抱え込まないように』──といった具合に。
もちろん、株式会社Bon Bonの社員たちは、そういったことはしないだろう。だが、世の中、どこで誰が狙ってくるか分からない。
備えておくに越したことはない。
週明け、社内で俺たちの婚約を発表する予定だ。ただし、これは極秘扱いとして行う。
マスコミや関係各所への正式な披露は、2月に予定しているパーティーで行う段取りになっている。
美愛ちゃんとの未来へ向けて少しずつ、確実に、歯車が動き始めている。



