コンネリシャス王国の  恋物語

三日前にバンアロア国の王様の甥であるサミュエル殿下が王宮にルルを訪ねてきたのだ。

ルルはとるものもとりあえずジュオン王子とお城を後にしたのでルルの部屋に残してきたドレスや宝飾品を持って来てくれたのだが、お城に連れていかれた時ルルは着の身着のままだったので、ルル自身のものは何もない。

すべて王様やサミュエル殿下からの貰い物ばかりなので、サミュエル殿下にそう言うとプレゼントしたのだからすべてルルの物だから受け取って欲しいと言って譲らなかった。

ルルにはバンアロア国の伝染病を終息に導いてくれた功績もあり、その上王妃様も救ってもらっているので、こんなものではお礼にもならないとサミュエル殿下は言ってくれたのだが、そんなサミュエル殿下をジュオン王子は表情一つ変えずにジト目で見つめていたので、ルルは居心地が悪くてサミュエル殿下にも申し訳なかった。

でも、サミュエル殿下も豪胆な人なのだろう。

そんなジュオン王子を気にすることもなくほんとはルルと婚姻を結びたかったのだと言い放ったものだから、一気に部屋の空気が冷たくなった。でもサミュエル殿下は気にもしない。

それにはその場にいた皆が

“サミュエル殿下は何も感じない空気の読めない愚か者なのか?はたまたジュオン殿下の冷気と怒りをものともしない肝の据わった人なのか?”見極めきれないようだった。

サミュエル殿下と少しは時間を共に過ごしたルルとしては、後者だと思っている。

バンアロア国の王様もそうだが、何を考えているのか掴めないのほほんとした雰囲気なのに結構押しが強く豪胆だ。

その証拠にこれを機会にコンネリシェス王国とバンアロア国の交流がもっと盛んになるようにお互いに努力しましょう。

とかなんとかジュオン王子に言っていた。