コンネリシャス王国の  恋物語

コンネリシェス王国は魔法士が沢山いて騎士団も精鋭揃いで一度も侵略や戦争になったことはないのだが、周辺の国はコンネリシェス王国の強さをよく分かっているようだ。

ジュオン王子はイラついた気持ちを隠そうともせず美しい顔が冷たく無表情になっている。

そこに騎士に連れられてルルが入ってきた。

「ジュオン」「ルル」

と同時に叫びながら二人は走り寄りひしと抱き合った。

ジュオンは少しやつれたルルを見てバンアロア国の王様に殺意を抱いた。

ルルはジュオンの逞しい胸に縋って泣いた。

懐かしいジュオン王子の匂いを胸いっぱいに吸い込んで嬉しくて愛おしくて胸がいっぱいになった。

ジュオン王子ももう二度と離れ離れにはならないと心に誓いルルをしっかりと抱きしめてルルの甘い匂いに酔いしれた。

しかし、そんな悠長にしている暇はなかった。

一刻も早くコンネリシェス王国に戻りイリスを診てもらわなくてはならない。

ジュオン王子はルルの耳元で

「ルルよく聞いてイリスがどうも伝染病に
かかったらしい。
一週間前から熱が下がらず意識もだんだん
薄くなってきている」

「ええっ、イリスが・・・」

「うん、だからすぐにここを発って王宮に
戻らなければならない。
もうルルしかイリスを助けることが
できない。急いで行ってくれるか?」

「もちろんよ。早く帰りましょう。
風魔法で飛んでゆけないかしら?」

とルルは本気で言っているようだ。

はじめての魔法クラスの合宿でジュオン王子がルルを抱いて湖を渡ったことを思い出したのだろう。

「さすがにここからコンネリシェス王国
までは無理だな。でも馬を待たせている。
すぐに港まで行けば王国の船も準備して
直ぐに出航できる。
今日の夕食までには王宮に戻れるよ」