コンネリシャス王国の  恋物語

一方ジュオン王子も苦悩していた。

セレスからの連絡ではルルがバンアロア国のお城に連れていかれて、王妃様や城内の患者も快方に向かい伝染病も終息したと言うのに、ルルがお城から帰してもらえない状況になっている。

ルルの希望でセレスがチリルの様子を見に一度チルチルに帰ってチリルの無事を確認してすぐにお城に取って返したが、二度と入れてもらえなかったと言う。

セレスは何度か忍び込もうとしたらしいが、警備が厳しくて城には入り込めないらしい。

ルルと王様の甥のサミュエル殿下との婚姻の話も噂されているらしくジュオンは気が気ではなかった。

既成事実を作られてしまえば打つ手がなくなる。

二週間前には何とかトピアーズ共和国のアリレア王女との婚姻は白紙にした友好条約が結ばれた。

トピアーズ共和国側はコンネリシェス王家との婚姻関係で自国に有利な条約を模索していたのだが、コンネリシェス王国側は全くその必要性を感じていない。

ユバンナ王国が不穏なうごきをみせ始めているらしく、トピアーズ側はもしユバンナ王国が攻め入ってきたらコンネリシェス王国の騎士団に守って欲しいと言うのが一番の希望のようだが、守って欲しいではなく自国の騎士団がまずは矢面に立たなければならない。

自分たちは何もしないでコンネリシェス王国に騎士団を派遣してほしいと言うのは厚かましいにも程がある。

そんな一方のみに利がある友好条約など結ぶつもりはないとはっきりと拒絶した。

だから王女との婚姻をという話を押し付ける相手側にジュオンは、申し訳ないがアリレア王女には爪の先ほどの興味もないと言い放った。

王女との婚姻が如何にもありがたいものだと思っているトピアーズ共和国の使節団は、

ジュオン王子の毅然とした態度についに折れた。

トピアーズ共和国側には軍事支援はするがあくまで支援である事を理解させて、コンネリシェス王国側としては輸出入の際の関税の撤廃を要求した。

トピアーズ共和国はコンネリシェス産のワインなどには高い関税を課している為、国内の売価の一・五倍以上の価格になっている。

そういう関税を撤廃させるならコンネリシェス王国側にとってはかなりの利がある。

そうして、半年以上の長い交渉の末コンネリシェス王国としては満足のいく友好条約が結ばれたのだった。