コンネリシャス王国の  恋物語

セレスは先に帰る事は許されたがセレスもルルが一緒でなければ帰らないと言って居座っている。

二人が治療院から帰ってきてほんの二週間もしないうちにお城に連れてこられたので、チリルも心配しているだろう。

ルルはチリルの様子が気になるのでセレスに一度様子を見に行ってほしいというと渋々帰っていったが、二度と城に入れてもらえなかったようで、セレスとは音信不通になってしまっている。

その上、王様の甥との婚姻の話が出てくるようになり、一度は無理やりお茶会と言う名のお見合いのようなことも謀られた。

ルルはコンネリシェス王国の状態が分からずどこまで話していいかも判断がつかず、何とかセレスと連絡ができないかと焦っていた。

お城に連れてこられてもう一月以上が過ぎている。

セレスが帰ってこられなくなってからも、一週間が過ぎた。

帰らせてほしいと王様にお願いしても人のよさそうな顔でのらりくらりと話をすり替えられてしまう。

優しくて人が好さそうに見えるがなかなかの古狸だ。

王様の孫が剣の稽古で大けがをした時も、ルルは知らん顔が出来なくて三日かかって治癒した。

そんな経緯もあってルルの事を王家に取り込みたい意図が丸見えになってきた。

王様の甥のサミュエル殿下も積極的でルルは辟易している。

甥と言っても御年三十歳ルルより十歳以上年上だ。

ジュオン王子もトピアーズ共和国のアリレア王女との縁談の話が出ていた時もきっとこんな気持ちだったのだろう。

顔を合わすのも鬱陶しくて顔を合わせなくて済むように部屋から出ずにいると、わざわざやってきて花束を渡したり、お茶に誘われたりする。

ストレスでお肌がボロボロになりそう。

ジュオン王子に会いたくてたまらなくなる。

このお城に連れてこられる前にもう少しで解決しそうという連絡があったとセレスが言っていたが、あれからもう一月以上過ぎたので解決しただろうか?

でもどうしたらここから抜け出せるのかわからない。

いつも部屋の前には護衛だと言って騎士が二人も立っているが、護衛ではなく監視だろうとルルは思っている。

侍女も二人隣の控室にいる。

待遇はお姫様扱いでドレスや宝石が惜しげもなく与えられ、サミュエル殿下からも色々な贈り物が届くのだ。

お城を抜け出せる気がしない。

セレスがいてくれれば何とかなったかもしれないが、ルルの浅慮でセレスを城から出してしまった事を今更ながら後悔している。