コンネリシャス王国の  恋物語

セレスの顔を見てほっとするルルだった。

そして、二人は治療院でしたことを繰り返す事となった。

マスクはお城の専用のお針子さんに一枚見せるだけであっという間に、城中の人が最低二枚は持てるように行き渡った。

そしてその日から手洗いうがいを実行していってくれた。

治療院よりずっとやり易かったのは、バンアロアの天使と言うルルの隠れ名称が行き渡っていたためだろう、ルルの言う事はすぐにみんな喜んで実行し手伝ってくれたのだ。

王妃様はルルの治癒の魔法で、少し力がついてまず水をしっかり飲むようになると、その後一週間位で重湯から始めて食事ができるようになり王様を始めご家族の王家の方達は安心したのだった。

浄化の魔法を王妃様の部屋に放ちつつ、毎日治癒の魔法を王妃様に注入していった。

治癒の魔法で病気が治るわけではないが病気に対抗する力、自分で直そうとする力が強くなるようだ。

国立治療院では大勢の患者には毎日治癒の魔法を一人一人かけるわけにはいかず重症者のみに一日十人ほどにしか使えなかったのだ。

ルルの魔力量の問題なのだが、浄化の魔法や水を作り出したり食事に治癒の魔法を注いだり一日そういう事をやっていると少しずつだが、魔力はかなり消耗する。

セレスはルルの状況をよく観察していてくれて、すぐに無理をしようとするルルを休ませるのが上手かった。

魔力が切れるまで使ってしまうと次の日になっても百%回復できないことに気付いてくれたのもセレスだった。

魔力が枯渇してくるとルルの瞳の色が極端に濃くなるのだとセレスは言った。

それからはセレスのストップがかかるとルルは魔法を使うのをやめて、少しでも休むようにしたのだった。

お城ではそこまで魔力を使う事もなかったので王妃様が落ち着いてくると、別の塔で隔離されている人たちの治療も手伝うようになった。

そして王妃様が全快する頃には新しい患者は出なくなってみんな回復していった。

ルルはお城の料理人にもおかゆや雑炊の作り方を教えた。

王妃様は雑炊がすごく気に入って、ルルが毎回趣向を変えて味変させるのですっかり雑炊のとりこになったようだ。

雑炊を美味しく作るために、バンアロア国の港でとれる昆布を干してだしを取るのだが、それを見ていた料理人に教えるとなんにでも応用して使っていた。

王妃様が元気になってくると鶏肉でだしをとったりして少しこってりした雑炊を作ると、王様も一緒に食されて毎回王妃様と一緒に雑炊を食べることになった。

消化もいいし何より歯も抜けてきた王様には食べ易くていいのだが、あまり嚙まなくていいものばかり食べるるのも良くないと医者に注意されて、雑炊は一食だけとなった。

王妃様も全快されたしお城の病人もほとんど回復したので、チルチルも気になるし帰りたいと願い出たが、なかなか許可は下りなかった。