コンネリシャス王国の  恋物語

そんなある日、チルチルの前に豪華な馬車が停まった。

バンアロア国の王家の紋章が扉に記されてあった。

馬に乗った騎士が四人やってきて、王様からルルに王宮にあがるようにと勅命が下ったと言って手紙を見せられた。

ルルを馬車に乗せて王宮に連れて行こうとして、セレスと睨みあいになった。

いくら強くても相手は四人だ。

セレスに勝ち目はない。

ルルはセレスに大丈夫だからと言って、小声でフェイレアにすぐに知らせてとたのんだ。

白魔法が使える事が知られてしまった可能性がある。

治療院は国立なので王宮に院長が報告したのかもしれない。

心配そうなチリルとセレスにすぐに戻るから心配しないでと言って、ルルは立派な馬車で王宮に連れられて行った。

バンアロア国の王宮はコンネリシェス王国の王宮よりも小さかったが、バンアロア国特有の赤い屋根に薄いクリーム色の石壁がとても可愛いお城だった。

尖塔が何か所かあっていちばん高い尖塔にバンアロア国の国旗が翻っていた。

コンネリシェス王宮は男性的で立派な宮殿と言う感じだったが、王家の人達の住まいの方は優雅で気品があった。

飾りのモールや玄関には飾りのコラムがあってとても美しい邸宅だった。

そんなことを思い出しながら、馬車の窓から見える可愛いお城に見惚れていた。

そういえばバンアロア国のお城は観光地の一つにもなっていたはずだ。

ルル達はこの国に来て、自分たちの生活を落ち着けることに忙しくて観光もしていなかったと、お城を見て思い出した。

チリルとセレスにもこの可愛いお城を見せてあげたいと呑気な事を考えていた。