コンネリシャス王国の  恋物語

実は一週間前にもルルは危ない目にあっている。

市場に買い物に行った時、帰ろうと籠をもって市場を出たところで、ごろつきに囲まれて連れていかれそうになったのだ。

この市場はいつも通っているところで治安はよくみんな知っている人ばかりで安心な場所なのだ。

ルルの窮地にいち早く気付いた市場の人達が寄って来てくれて、馬車に乗せられようとしていたルルを助けてくれたのだ。

皆口々にこんな所にあんなごろつきがいるのはおかしい。

誰も見たことがない人ばかりだった。

言葉もあまり通じないような感じがしたと言っていた。

ルルは父と母や祖母に報告して兄のフェイレアに連絡して、国家騎士団に捜査を依頼してもらった。

ジュオン王子の耳にも入っているはずだが、その時にはジュオン王子は会いには来てくれなかった。そして、今日のこの災難だ。
ルルは何か得体のしれない恐怖を感じて不安になっていった。

ジュオン王子は 王宮に戻るとすぐにリュウセイとシルバーを執務室に呼んで対応を協議しなければと思っていた。

できればフェイレアも呼ばなければいけない。

二週間前から王宮にはトピアーズ共和国の第一王女アリレア姫の一行総勢二十名ほどが何の前触れもなく訪れてずっと滞在している。

アリレア王女は何様のつもりなのか、我が物顔で東の棟を占領している。

何時もルルやチリルが王宮に遊びに行くと泊まったり料理を作ったりしている場所だ。

イリス王女は怒り心頭に発すると言って、イライラしている。

そしてジュオン王子もアリレア王女の突然の訪問と滞在には驚いているが、ユバンナ王国の情勢がなかなか掴めずトピアーズ共和国の友好条約の申し入れを無下にはできず頭を抱えている。

アリレア王女はジュオン王子を気に入っているようで婚姻の前にお互いしっかりと理解し合いたいと言ってコンネリシェス王国にやってきたのだが、ジュオン王子には全くその気はない。

アリレア王女は性格がその顔に現れている。

美人だが気の強そうな面持ちに人を見下したような発言、特に自分より立場が下の物を顎で使うような所もジュオン王子の大嫌いなタイプだ。

流石に王女や共和国の一行と接するときには、人当たりのいい顔と行動で王女をきちんとエスコートしているが、本音は早く帰ってほしいと思っている。

陛下もジュオン王子とアリレア王女との婚姻を避けて友好条約のみを結ぶ方向で動いてくれているのだが、肝心の王女が婚姻に乗り気でジュオン王子にまとわりついてくるのでルルにも会えない状況だ。