コンネリシャス王国の  恋物語

そんなある日、学園の授業が終わり門を出たところで、まえから来た馬車を引いていた馬が突然暴れ出して、ルル達学生の方に暴走してきた。

その時誰かがルルの背中を押したのでルルは暴走する馬の前に倒れ込んだ。

ルルは走ってくる馬の蹄の裏側まで見えるようなスローモーションの視界に身体が硬直して動けなかった。

周りでは悲鳴が上がっているのを遠くに聞いていた。

馬がルルの上を駆け抜けた。

確かにルルは道に倒れて馬の腹を下から見上げていたのだ。

でも、けがは一つもなかった。

馬はルルを障害物のように飛び越えていったのかもしれない。

「ルル 大丈夫か?」

なぜだかジュオン王子が急に表れてルルを抱き上げた。

そして自分の馬車にルルを乗せて家まで送ってくれた。

怪我はなくても心臓がどきどきと口から出てしまいそうなほどの動機でうまく息が吸い込めなくてあわあわとしていた。

体が小刻みに震えて自分では止めることができなかった。

「ルル、ゆっくり息を吐くんだ。
吸うんじゃない息を吐きだせ。
ゆっくりでいい」

そう言いながら背中をさすってくれる。

それでルルはようやく落ち着いた。

「怖かったな。ルル、全部俺のせいだ。
ごめんな」

ジュオン王子はぎゅっとルルを抱きしめてくれた。

ルルはしばらく口をきけなかった。

たまたま家に居た母に、事情を説明してとにかくすぐに医者をよこすのでルルをよろしく頼みますと言って、ジュオン王子は王宮に戻っていった。

その後兄のフェイレアが真っ青な顔をして家に飛び込んできたのは言うまでもない。

ぐったりとして口もきけないルルを泣きそうな顔で見つめていた。

お医者様から体には何も怪我はないと言われやっと家族も落ち着いた。

ルルをそっと抱きしめて、絶対に何とかするからもう少し待ってくれごめんと言って王宮に戻っていった。

少し冷静になったルルはジュオン王子と兄フェイレアのごめんの意味がよく分からず首をひねるのだった。