コンネリシャス王国の  恋物語

そして、今年もルル達は何の障害もなく洞窟を通り抜けられた。

獣の唸り声一つしなかったのだ。

ルルはまたね。

来年も来るからねと言ってウルフベアーをギュッと抱き締めて別れた。

湖を渡るのが難関だ。

去年はジュオン王子がルルをお姫様抱っこして風魔法で湖を渡れたが今年はサイラス一人しか風魔法を使うことができない。

そこで木をきっていかだを作った。

丈夫な蔓で木を縛りルルと一年生がいかだに乗りサイラスは風魔法で後ろからいかだを押してくれた。

サイラス自身は足元に風魔法を展開して湖を渡っていった。

そして大黄泉の木と再会した。

今年もルルは黄泉の木に恵みの水を降らせた。

きっと気持ちがいいのだろう黄泉の木は嬉しそうに枝をゆさゆさとゆすっている。

そしてルルの前にありがとうとでもいうように一枝落としてくれた。

「黄泉の木さん今年もありがとう。
お陰で助かったわ。
また来年もよろしくね」
そういって三人で帰路に就いた。

ルルは教授にほかのグループの事まで頼んでくる必要はないと言われていたのでその言葉に従った。

帰りもいかだに乗ってサイラスに風で押してもらった。

今年は、ウルフベアーや大黄泉の木を怒らせてけが人が何人か出たのでルルが白魔法で治癒した。

どうしたらあの優しい大黄泉の木を怒らせることができるのかルルは不思議だった。

そういうとサイラスがルルは特別で、大黄泉の木のお気に入りなんだよと言って笑っていた。

教授たちは今年も早々に帰ってきたルル達の組に呆れていた。

ジュオン王子がいなかったのでちょっと心配もしたが、夜には満天の星を見上げながら、去年この星空の下でジュオン王子がルルを好きだと言った事、その時の彼の情熱のこもった瞳を思い出して胸がきゅんとなって苦しくなった。

“ジュオン会いたい“と思わず呟いてしまった。