コンネリシャス王国の  恋物語

そしてまた魔法クラスの合宿の日がやってきた。

今年はジュオン王子がいないのでとても心細い思いで参加したルルだったが、去年同じ組だったサイラスが今年はリーダーとしてルルの組を引っ張ってくれた。
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                   
今年の一年生は火魔法を使える男の子で少し線が細くあまり頼りにはならなさそうだったが、サイラスがいてくれて安心して洞窟に入っていった。

コースは今年もなぜか真ん中のコースで去年と同じ洞窟で入るとすぐにルルは手に光を集めて明かりを灯し浄化の魔法を施した。

洞窟の真ん中あたり少し広くなっているところでウルフベアーが十匹くらい固まってルル達を待ち構えていた。一年生はおびえて固まってしまった。        

でもルルは先頭に立つひと際大きなウルフベアーの優しい眼差しに既視感があった。

去年けがを治療した子供のウルフベアーだ。

白い毛並みが特徴的でよく覚えていたのだ。

ルルは思わずその立派なウルフベアーに駆け寄って、

「こんにちは。
私のこと覚えてくれていたの?」                       

と言って手を差し出した。

サイラスも一年生の男子も息をのんだのが分かったが、ルルは全然怖くなかった。

ウルフベアーはルルの手をなめて頭をこすりつけてきた。

「うわっ、ウルフベアーに触っているよ。
ルルさんどうなっているんですか?」

「ルルは去年の合宿であのウルフベアーが
怪我をしていたのを治療したんだ。
毛並みや大きさからみて、きっと集団の
ボス的な存在なのだろうな。
白いウルフベアーってあまり見ないよな」

とサイラスが一年生に説明している。