コンネリシャス王国の  恋物語

それから五日ほどたった日に朝からお菓子を作って兄に差し入れを持って行った。

ジュオン王子にはその旨伝えていた。

兄に二人の事をきちんと話そうと思っている。

どんな反応を示すのか全く分からないが、いつまでも内緒にしておく訳にもいかず、ルルは兄の好きなパイクリームをたくさん作って持ってきたのだ。

近衛騎士団の詰め所に行くとちょうど兄の友人のセレスが詰所から出てきた所だった。

「セレス様こんにちは。兄のフェイレアは
どこにいるかご存じですか?
差し入れを持ってきたのです」

「おう、ルル、久しぶりだね。
フェイレアなら今まだけいこ中かもな。
そっちの見学場所に椅子があるからそこに
座って待っていればいいよ。
もうすぐ終わるから、でもその前に
一つもらってもいいかな?」

そう言うとバスケットの中からパイクリームを一つつまんでポイッと口に入れた。

そして、うまいうまいと言いながらもう一つ取ろうとしたのでルルはべしっとその手を叩いた。

あと一個だけとセレスに拝み倒されて仕方がないですねと言ってもう二つ上げるとめちゃくちゃ喜んで去っていった。

今日は小さめに五十個ほど作ってきたのだ。

争奪戦にはならないよね?

とりあえず兄を見つけなければと思い騎士の訓練場に向かった。

そこでは十人ほどの騎士がお互いに稽古をつけていた。

兄のフェイレアも木剣で打ち合っていた。

木剣が打ち合う音が見学席にも聞こえてくる。