コンネリシャス王国の  恋物語

酔っぱらいはほっといてそろそろデザートにしようということで、リビングに移動することになった。

アルク第二王子がクリームを詰めたプロシットパイクリームを侍女たちが用意してくれる。
兄のフェイレアは実は初めて食べるのだ。

先回イリスとのお茶会で初めて作ってきたパイクリームなのだ。

それを後でアレク第二王子から聞かされた兄は自分だけ食べていないと言って拗ねていた。

そして次の日、わざわざ寮を抜け出してきて文句を言いに帰ってきたのだ。

兄は普段家にいないので試作した時にも家族では兄だけ食べていなかったのだ。

恐るべし食べ物の恨み。

顔を合わせるたびに何時作ってくれるのかと催促されていたのをスルーしていたのだ。

そのパイクリームがデザートだと知って慌ててジュオン王子と二人でリビングにやってきた。

陛下も楽しみにしていたらしくウイスキーを飲みながら食べるのだと言ってほくほくしている。

「今日は中のクリームを二種類
用意しました。こっちのお皿は
カスタードクリームでこっちのお皿は
チーズと生クリームを合わせたものです。
ジュオン殿下がチーズが好きなので
作ってみました。
気に入って下さるといいのですが、
ちなみにアルク殿下がクリームを
詰めてくださいました」

そう言うとジュノン王子は固まってしまった。

”僕の為に…”とつぶやいてパイクリームを見つめている。

いやいやそういうわけでもないけれど、そういう気持ちでもありますと心の中で呟やいておいた。

そして、アルク第二王子はまたまたエッヘンと胸を張った。可愛い!

どちらのクリームも好評だった。

贅沢だと言ってみんなそれぞれ二個ずつは食べていた。

食事の後なのにもうお腹が破裂しそうと言ってアレク第二王子がソファーに大の字に寝転がって皆の笑いを誘っていた。

今日は小さめにして量をたくさん作った。

侍女や護衛の皆さんにも先に除けておいて渡してある。

皆とても喜んでくれた。

美味しいものは人を笑顔にするのだと改めて思ったルルだった。