執事3人組に向けられていた視線が一気に私に集中する。だけどそれは決していいものではなくて……。
姉の私相手に嫉妬されても困るんだけどな。
碧葉は私の弟で身内なわけで。他人の視線を気にする必要はないし、ここで隠れたりこそこそする方が変だ。
向けられる好奇な視線を気にせず、碧葉に向かってひらひらと右手を振り「ちょっとモテすぎじゃない?」と声をかけた。
「うん、俺モテんだよね」
「今日の碧葉はいつも以上にかっこいいよ、ほんとかっこいい」
「だろ~」
自分のかっこよさを否定することのない碧葉が得意げに口角を上げると、周りのギャラリーからは「ひゃ!」と少し控えめな悲鳴のようなものが聞こえてきた。
「あとで一緒に写真撮ろ!家族LINEに送らないと」
美郷に写真をお願いしようかな、とスマホを手に振り向こうとした時、碧葉と一緒に歩いていた美形2人が「あのー」と話に入ってきた。
その声の方に視線を向けると、2人は私の顔をみるなり、はっとしたような表情を浮かべた。
碧葉の姉です、いつも碧葉がお世話になってます。そう挨拶をしようとする前に、
「もしかして黎の?」
「実物のほうがもっと可愛いっすね」
そう声をかけられて、思わず眉が寄った。


