土曜の夜ということもあり席は2時間半制。当然喋り足りるはずもなく、2次会は近くのチェーン居酒屋、3次会はカラオケへとやってきた。


カラオケに入る頃にはもう全員が千鳥足になっていて、皆で腕を組み支え合いながら歩いた。


飲み放題にはしなかったもののワンドリンク制で全員がアルコールを注文していたあたり、流石だと思う。


高校生の頃は誰かの家でお泊り会をして朝までオールで語り合ったり、大学生の頃はカラオケオールが当たり前だったのに。


24歳、社会人2年目ともなると、オールなんてものは選択肢から消え去る。睡眠、大事。



「ねえねえ、今思ったんだけど~、"ダブル萌"も今日で見納めだったりする~?」

「あー!そうじゃん!」


しっかり0時を回る前に帰る準備を始めていたところ、焦点の合わないみんなの視線が私と椎菜に向けられた。


椎菜の名字は萌上(もがみ)。1年生からダブルスを組んでいた私たちは、先生からもチームメイトからも "ダブル萌"と呼ばれていた。


「椎菜の新しい名字なんだっけ~?」

「か!や!の!もうこれ何回も言ったあ」

「あーそうだそうだー茅野椎菜だ!」


……そっか。もう次に会うときは萌上じゃなくて茅野椎菜になってるのか。なんか寂しい。