ベイビー•プロポーズ


そんな黎の白くて細い指先からは、一定の素早いリズムでボールが放たれる。一寸の狂いもなく同じ放物線を描くボールたちは見事なくらい綺麗にゴールリングへ吸い込まれていった。


ゲームとはいえ、黎がバスケをしている姿を見るのはかなり久しぶり。


――かっこいい、とその姿から視線を外せずにいると、いつの間にか同じように黎の姿に釘付けになるちびっこギャラリーが周りに集まっていた。


私と対戦をした1回目でプレイした台の最高得点を叩き出した黎は、1人でプレイした2回目にさらにその得点を更新していた。


その後もアトラクションに乗り続け、ひとしきり楽しんだ頃にはすっかり空が薄暗く染まっていた。


最後にどうしても乗りたい、と黎がチョイスしたのはこの遊園地1番の名物ともいえる大観覧車。夜景が綺麗に見える時間帯ということもあって、かなりの人々が列を成していた。


「ねえ、俺らもカップルに見えてる?」

「え~それはどうだろ?姉弟に見られてるかも」

「……、じゃあこうする」


前後左右をカップルに挟まれながら、横並びになって行列に並んでいたところ、黎はやや身体を横に曲げると私の肩口に頭をのせてきた。


「これで姉弟には見られない」

「ちょっと!バカップルみたいだからやめてよ」

「いいじゃんバカップル」

「全然よくない」