「あの、私、帰る」
「なになに、どしたのもえちゃん」
「っ、ちょっ」
土井さんの手が私の腰元へと伸びてきて、ぐっと横へ引き寄せられた。
反射的に抵抗し身を捩じらせたけど、男の人の力に勝てるはずもなく。にんまりと笑みを浮かべる土井さんに近距離で顔を覗き込まれた。
「っ、やだっ…」
「ん〜?」
「なんで…やだ、離してっ」
「はは、そんな嫌がらないでよ」
頭も心も完全に土井さんを拒絶しているのに、恐怖からなのか、情けない声しか出てこない。身体に力が入らない。
「もえちゃん元彼多いんでしょ?それならさあ、別によくない?」
元彼が多いことと今のこの状況に何の関係があるの?全然よくないんだけど。
「それにもう24歳でしょ?もえちゃんの見た目だし、こういう経験それなりにしてきてるでしょ」
たしかに処女ではないけど、そういうことは付き合った人としかしてきていない。
当たり前にセフレがいたことはないし、ワンナイトなんて経験もない。そこらへんのお股ゆるゆるな女の子たちと一緒にしないでほしい。
「彼氏いないんだったらいいじゃん。ね?俺、もえちゃんのこと今までで1番気持ちよくさせれる自信あるからさ」
いやいやいや無理無理無理……!もうすでに今が1番気持ち悪い。


