身だしなみに気を遣うことは大事だし、清潔感のある人の方がポイントが高いのは間違いない。歯に気を遣うのだって素晴らしいことだと思う。
――だけど、肌のトーンとあまりにも違いすぎる真っ白な歯を見せられると、この人ちゃらいな。遊んでそうだな。と勝手な偏見で、一歩引いて見てしまう。
「もえちゃんはお酒いける人?」
「あ、はい。めちゃくちゃ好きです」
「おーまじ!俺もめちゃくちゃ酒好きでさ」
「そうなんですね」
「それなら昼から、どう?」
土井さんは私を見ながら、グラスに見立てた右手をくいっと煽る仕草をする。
「いいですね、飲んじゃいましょうか」
私がそう了承すると、嬉しそうに歯を見せた土井さんはドリンクメニューを渡してくれた。
あっさり気持ちがアルコールへと持っていかれ、背もたれにぴったりとくっつけていた背中を離し、前のめりになりながらメニュー表へと目を向ける。
少しアルコールが入ってたほうが気分的にも楽かも。という気持ち3割。昼からアルコールを摂取するという背徳感に呑まれたが7割というところ。


