ベイビー•プロポーズ


「もえちゃん当たりだ」


両肘をテーブルにつき、交差させた指の上に顔をのせた土井さんはにやりと口角を上げた。


「当たり、というと?」

「写真だと遠めの横顔だったから雰囲気しか分からなかったけど、顔、めちゃくちゃ可愛いね」


ああ、当たりってそういうことね。ていうかそういうの普通に口にしちゃうタイプの人なんだ。


「いやいや、そんな」

「俺ねぇ、綺麗系と可愛い系だったら可愛い系がいいんだよね。だから今、かなりテンション上がってる」

「あはは、それは私が可愛い系ってことですか?」

「うん。もえちゃんかなりタイプかも」


やや上半身を前のめりにする土井さんに、無意識に背中が後退した。


顔を合わせてまだ1分も経っていない相手に対して、スラスラと流暢な口説き文句を口にする土井さん。黎とはまた違うタイプのストレートに気持ちを伝える人のよう。


「土井さんもかっこいいですね。モテそう」


会話の流れでそう褒め返した。

土井さんはプロフィール写真と同様、実物も普通にかっこいい。うん、かっこいいとは思うんだけど……、


なんか写真よりもちゃらい。


「はは、ありがと」


恐らく言われ慣れているであろう言葉に謙遜する様子もなく、やけに真っ白な歯を見せて笑った土井さん。


……うん、やっぱりちゃらい。